日刊サンWEB|ニュース・求人・不動産・美容・健康・教育まで、ハワイで役立つ最新情報がいつでも読めます

ハワイに住む人の情報源といえば日刊サン。ハワイで暮らす方に役立つ情報が満載の情報サイト。ニュース、求人・仕事探し、住まい、子どもの教育、毎日の行事・イベント、美容・健康、車、終活のことまで幅広く網羅しています。

デジタル版・新聞

My Destination

【My Destination】第3章 「再挑戦」四度目の正直 Part1

(前回まで)「世界をまたにかけて働く」ことを幼少からの夢としていた私は、意と反して損害保険会社に入社。順風満帆な生活を送っていたが、急きょ会社が経営破たん。その後の人生を切り開くために渡米しMBAを取得。その後メガバンク勤務を経て、新たなキャリア形成のため、渋谷にあるベンチャー企業の門を叩く。子会社での副社長経験を挟みつつ、経営企画業務全体を取り仕切る毎日であった。

 私が勤務する会社は、ベンチャー企業らしく設立当初からIPO(株式上場)を一つの目標にしてきた。経営企画マンへのキャリアチェンジを目指し転職する際に、IPOを経験することは非常に魅力的に映った。IPO準備の一環で、経営管理のイロハをすべて学ぶことができる。だからただ単に経営企画要員を募集している会社でなく、IPOを目指している会社を選んだ。この期待は良い意味で大きく裏切られ、私は経営管理とは何たるかをレクチャーできるくらいの経験値を積んだ。何を隠そう、3回もIPOチャレンジを行ってきたからだ。

 一度目は2006年秋。これは証券取引所への上場申請直前でストップがかかった。当社の大株主に黒い影があるという噂が広がったためだ。二度目は2010年夏。これは証券会社の審査の最終段階で、その証券会社の審査体制に難ありとの噂が広まった。噂は事実となり、結果としてその会社は会社存亡の危機の状態まで追い込まれ、当社のIPOどころではなくなってしまった。三度目は20113月。この時は東京証券取引所(以下「東証」)による上場審査の真っただ中で東日本大震災が発生、収益の大部分を仙台にあるオペレーションセンターに依存していた当社は、上場申請を取り下げざるを得なかった。

 しかし、三度目の断念は、理由が誰の目にも明確であり、逆に言えばその理由さえ払拭できれば、審査の再開を拒む理由は東証にはない。震災から数か月で仙台オペレーションセンターは不死鳥のように蘇り、一時不安視されていた売上も計画通りに進捗をみることが出来たのだった。こうして2011年秋に我々は四度目となるIPO申請を東証に対して実施したのであった。

 東証による上場審査が始まった。しかし、私を中心とした当社のIPO準備メンバー達には、審査に対する経験値が充分に蓄積されており、淡々とそして誠実に審査に対応していった。そして、ついにその日は来た。

 11月上旬のある日。東証審査部の担当者から一本の電話が入った。電話を取った部下は勘どころが良く、興奮しながら私に取り次いだ。電話に出た私を部下達が期待に満ちたまなざしで見つめている。「承知しました、ありがとうございました」と言って電話を切るや否や部下たちは「やったー!」と一斉に叫び、抱擁を交わしていた。当社に対する上場承認が下りた瞬間であった。

 しかし、これで全てが終わった訳ではない。実際に上場するまでには、まだ何個か乗り越えないとならないプロセスが待っている。社内に広がる歓喜の渦を横目に、私は今後のプランを検討し始めていたのであった。

(次回につづく)

No. 222   第3章 「再挑戦」

Masa Kokubo

1995年中央大学法学部卒。損害保険会社勤務後、アイオワ州の大学院にてMBAを取得。その後、メガバンク、IT企業を経て、現在はグローバル企業にて世界を相手に奮戦中。趣味はサーフィンとラクロス。米国生活は通算7年。

シェアする

返信する

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

Social media & sharing icons powered by UltimatelySocial
Twitter
Visit Us
Instagram