最近、財布を新しく買いました。三十歳になった節目ということもあり、ハワイに来る前からずっと使っていた財布にさようならすることに決めたのです。日本にいたころはポイントカードや会員カードをたくさん入れるべく、大き目の財布、また、現金払いが主だったこともありお札に折り目がつかない長財布を愛用していました。今では日本もアプリで会員カードを表示できたり、スマホ払いが主流になってきたりと聞き、そこに時の流れを感じます。
一方ハワイに越してきてからは現金は最低限、クレジットカード一枚と免許証が入ればOKという生活スタイルに。しかも最近ではスマホで支払うことも多く、ちょっとそこまでお買い物程度であればお財布すら持ち歩かないこともしばしば。となると、なるべく薄手でコンパクトなものがいいのではないかと思うようになったのです。
せっかくの節目、そして今後も長く愛用することを考えると、作りのしっかりした、そして飽きの来ない色とデザインがいいだろう。ということで、今までは名前だけでめまいがしそうな「ハイブランド」のウェブサイトでいくつかあたりを付けました。実際の店舗に行くのに気後れしたのは言うまでもなく、財布を買うために財布が空になったらどうしようなんて考えてしまいました。結局、悩みに悩んで、いくつかまで絞り込み、あとは実際にアラモアナで見てみることに。ベージュか薄いピンクの二つ折り財布にしようと心を込めて、いざ出陣。
数時間後、さっそうとアラモアナを後にしたとき、私の手にあったのは目が覚めるようなグリーンの長財布。予定とは全く異なる結果となって、自分でも驚きましたが、その財布を見たときに、まさに恋に落ちたような、雷に打たれたような、ビビッと感じるものがあり、迷うことなく即決してしまいました。
後から調べると、お金持ちの人に買ってもらうとよいとか、財布は買ってしばらく寝かせるとお金がたまるようになるとか、新札を入れておくとお金を呼び込むとかいろいろなジンクスがあるようです。残念ながら私は清水の舞台から飛び降りる気分で自腹を切ったし、買ってすぐ使い始めてしまったのでお金がたまることはないのかもしれません。しかし、ちょっぴり背伸びして買った財布を眺めるたびに、早くそれに似合う大人の女にならねばと気が引き締まる思いです。
今更ジンクスに頼るのも遅すぎるかもしれませんが、せめて新札の代わりに、このコラムを切り取って財布に入れて、無駄遣いすることのないよう気を付けたいと思います。
CAN OF ALOHA No.98
金平 薫 (Kaoru Kanehira)
香川県出身、現在はハワイ某所にて武者修行中。 日々のあれこれを、ゆるりとお伝えできたら幸いです。美味しいものには目がありません。 なんでもない毎日は Instagram:kaoru_days をご覧ください。