私たちの生活はとても便利で、多くのことを一瞬で行うことができるようになりました。買い物も家から出ずに済みますし、空調の温度設定ひとつで一日中快適に過ごすことができます。その分お仕事や他のことに時間を有効活用している方もいらっしゃるかもしれません。
一方で、これだけ便利になっても健康が害されては全てを楽しむことができないのも事実でしょう。アーユルヴェーダは、食事や睡眠を含めた、日常生活のあらゆることを意識的に行うことで心身の健康を向上してくれます。年齢別や季節、そして1日の時間帯など、いくつもの視点から生活を見ていくのですが、これら全ては、私たちが本来持っている能力や可能性を開くための土台を作るような行為です。
例えばアーユルヴェーダでは、プラーナと呼ばれる生命エネルギーの宿るものを食べることで、体にもプラーナが宿ると考えます。プラーナが宿っているとされるものの例を野菜で例えるならば、新鮮で艶があり、収穫後時間の経っていないものです。農薬を使って作られたものや遺伝子組換え食品、冷凍食品、加工食品類は、プラーナが宿っていないものの例でしょう。
プラーナはカロリー表示のように視覚化できるものではありませんので、あまりピンとこないかもしれません。しかし、このような小さなエネルギーの循環は自然界でも起きていますので、意識的に行う選択の一つひとつが、自然と調和する行為であるのです。
一見すると食べたもののエネルギーを気にするのは自然との関わりが無いように見えるでしょう。しかし、私たちも自然が持つ五元素でできていますので、自然の流れに抗うことなく生きることは、やはり自然との調和になるのです。もし、病院では特に異常があると言われていないけれどなんとなく体調が悪い、あるいは、不調はあるけれど改善が期待できずにいるといった場合は、自分が今、自然体でいるかどうかを感じてみてください。自分の今の環境、心の状態を観察してみるのです。私たちの精神のバランスは気候や季節によっても変化しますので、何かに気づいた場合も、「今はそういう状態なんだな」と受け入れてあげると良いでしょう。
健康を促す食事や生活スタイルが確立されていることは大切ですが、自分の気持ちに正直かつ寛大であることの方が、自然体の生活を送ることができます。
あらゆることが自然と調和すると、気付かぬうちに心も癒されていくのです。なんだか生活の原点に戻った感じがしませんか。
幸せ修行 No.254
加藤ジェシカ
世界中50か国以上を旅する中で、地球にはエネルギーのような何かが存在することに気づく。2017年、ヨガの勉強を通してアーユルヴェーダに出会い、渡印。日常に寄り添うアーユルヴェーダがテーマ。
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