アーユルヴェーダでは、いわゆる「病気」と診断が下される前にアプローチすることが普通です。なぜなら、アーユルヴェーダは身体が症状として伝えてくれるサインに意識を向け、トリートメントを行うからです。症状の一例は、便秘、軟便、下痢、オナラ、腹痛、頭痛、皮膚の乾燥、ニキビ、不眠、生理不順(PMS)、更年期障害です。
例えば、便秘の場合、ヴァータのエネルギーが乱れている可能性を疑います。排便するという行為は、ヴァータの持つ「風」のエネルギー、つまり「移動する」エネルギーが必要だからです。このヴァータが乱れていると、便秘のみならず、肌の乾燥や、ドライアイ、時には不眠の症状が出る場合もあります。多くの場合は、ヴァータ過剰による症状がいくつか表れますので、ヴァータに意識を向けてトリートメントを受けることで、実際に感じている不調だけでなく、不調を起こす原因の解決が期待できるのです。
そしてそれらの不調の改善は、日々の生活を通して行います。この時に重要になるのが「アグニ」です。アグニは、お腹に宿る火です。アグニは、他の記事でも書いていますので詳しいことは省きますが、食べ物と感情の両方を消化する役割を担います。食べ物を消化することができなければ、栄養になりません。そして、食べ物を消化するには、このアグニがちょうど良い状態であることが不可欠です。
どのように意識するかというと、①間食を避け、②消化できる量を、③消化できる時間帯にいただく方法です。
- 間食を避ける:一般的に、消化には4−6時間かかります。間食は、アグニにとっては負担です。きちんと3食しっかり食べて間食は避けましょう。
- 消化できる量を食べる:アグニは火なので、たくさんの食べ物がお腹に入ると、火が消えてしまいます。火に砂をかけていることと同じ状態です。消化できる量は、大体腹八分目でしょう。よく噛むこともポイントです。
- 消化できる時間帯:アグニの弱い時間帯に食事をすることは、身体にとっては負担です。食事は可能な限り日没までに済ませましょう。アグニは太陽の出ている時間帯に活発に働きます。
一見すると、消化の状態と不調は関係が無いように見えるでしょう。ですが、前述のヴァータの体質が優勢になると、アグニが弱い状態が続き、きちんと食べたものを栄養として体内に取り込むことが難しい場合があります。みなさんのアグニの状態はどのような感じですか。
幸せ修行 No.264
加藤ジェシカ
世界中50か国以上を旅する中で、地球にはエネルギーのような何かが存在することに気づく。2017年、ヨガの勉強を通してアーユルヴェーダに出会い、渡印。日常に寄り添うアーユルヴェーダがテーマ。
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