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【今どき ニッポン・ウォッチング】百貨店の新年「福袋」合戦、営業「盛衰」この一戦にあり!
日本百貨店の「店舗盛衰」に直結する、新年慣例の「福袋販売合戦」が、約2年ぶりに火ぶたを切り落とそうとしている。コロナ禍で大きく落ち込みを見せた百貨店の売り上げを挽回するには、記録的な円安を追い風とする外国人観光客の旺盛な消費が期待できるためだ。この得がたいチャンスを逃がすまいと、全社一丸となって取り組む福袋商戦は、各百貨店の重要な売り上げの起爆剤となるために重用視されている。訪日外国人に対する需要は、例年にない程特別な役割を担うであろう。
日本百貨店協会の統計によると、外国人観光客の日本百貨店での免税売り上げ高は、コロナ禍改善前までは、年間最大で約3461億円に達していた。しかし、コロナ禍が発生してからは、海外との往来が制限されていたことで、2021年には459億円となり、約9割近くまでに減ってしまった。即ち、訪日客による消費だけでも約3000億円が吹き飛んでまったのである。
外国の百貨店では、日本のように毎年年始の営業開始を祝って、顧客に感謝の意を表す高額品の特別な値引き販売の催しや、抽選で高額な外国行きの航空券を贈呈する抽選会などはあまり行われることはないようである。しかし日本の、特に有名で規模の大きい名百貨店では、毎年新年の風物詩としてこのような催しを長年行われ、定着している。特にお隣の中国からは、わざわざこの時期に大挙して訪日客が増加すると言う盛況ぶりであった。現在は残念だが中国人の来訪は未だ少し先になると言われている。
2023年のいくつか特色ある「福袋」の実例を挙げてみると、松屋銀座店は、限定1袋のハワイ高級コンドミニアム宿泊権福袋(航空券別)を、来年の福袋の目玉として打ち出している。ワードビレッジの高級コンド「ワイエア」に5泊のプランで、購入価格7億円相当だが、税込20万2300円で販売している。
西武池袋本店は、コロナ禍で販売を中止していた結婚式需要を見込み、長野県の八ヶ岳高原の邸宅を貸し切りにした結婚式を福袋として用意することにした。
対照的に、身近な「食」をテーマに福袋を売り出す百貨店もあった。それが東武百貨店池袋本店である。タイ料理や鶏唐揚げなど「食べ放題」の福袋を複数用意し、物価高で苦しむ家計を応援するという。
日本の百貨店業界は、販売競争が非常に厳しく、顧客に対しては常にサービスに気を使うことに専念してきた。
ある東南アジアから来る富裕層の顧客が言うには、「定期的に日本のデパートに来て買い物をするのは、ココで受ける顧客への心の籠った御もてなしを享受したかったからである」と。
今どき ニッポン・ウォッチング Vol.248
早氏 芳琴