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今どきニッポン・ウォッチング

【今どき ニッポン・ウォッチング】”Made in Japan”は不滅のブランド力となるか?

 かつて世界的に名高い日本一流の大企業の社名が付いていた製品が、世界各地で大歓迎を受けていた時代は、今やもう「過去の時代」のようになってしまった。ソニー(SONY)、トヨタ(TOYOTA)、ホンダ(HONDA)、それに資生堂(SHISEIDO)までがそうであろう。日本のバブル時代を牽引した機関車役の面々であったこれらの製品は、今でも人々の記憶にしっかりと刻まれていることは、言うまでもない。だが、残念ながら、目下、世界中の人々、当然日本人自身までが、この日本一流の企業名だけが付いた製品に対しも、疑う目で慎重に本物の「日本製」の「品」であるかを確認せざるを得ないようになってきた。

 ご存知のように、日本は今や世界一と言っても過言でない程、少子高齢化が極端に厳しい国であることで、有名である。それ故に、企業の人件費が一般的に発展途上国よりも高いのは、言うまでもない。一方、発展途上の国々では、仕事にありつけない若者が大勢いる。これら国々の有り余った若者の力を活用し、日本製品の製造技能を伝授することにより、比較的安い値段で世界的に製品を販売拡大出来ればと、期待するのは当然であろう。

 しかしながら、この単純な「ウイン・ウイン」の理論が、それ程利口ではなかったことが、脆くも実証されたのである。それが世界の多くの女性に愛用されてきた日本の化粧品メーカー資生堂の海外進出での失敗例が、あまりにも強烈であった。

 さすがに一流企業である資生堂は、直ちに経営方針の重点を海外進出から、国内回帰に転換した。2019年には、国内では36年ぶりに新工場となる那須工場を建設し、続いて2020年には大阪茨木市にも工場を建設。最近は、福岡久留美工場をも設立したのである。この様に元々は国内3か所あった製造工場を思い切って6か所に増やし、総投資額は約1400億円程であった。

 この様に、日本企業は生みの母国に回帰し始めたのである。これはほんの一例に過ぎないようではあるが、日本企業の母国への回帰の足音が微かに聞こえ始めて来たのは紛れもない事実である。勿論、日本円が突然安くなったのも要因の一つに違いないが、日本企業の海外移転当初の市場拡大計画が、予定の成果を収めることができなかったのが最大の原因であったことは言うまでもない。最も顕著な例が資生堂であった。同社がベトナムの工場で、低価格帯の製品を増やし市場拡大の計画をしたが、収益を高めることができずに、純損益だけが大幅に増えた。

 日本のある経済専門家が言うには;近年日本の多くの大企業が、海外企業との現地で合併共同生産した製品には、日本企業の社名だけを付け、値段は比較的安いが、売れ行きは期待通りではない。要するに、製品に「Made in JAPAN」の表示がない。消費者はそれを嫌って、購買を控えるという。消費者が欲しいのは、確実に日本国内で造られ、日本の職人の手によって完成された物品である。

 「Made in JAPAN」のブランド力は、今も健在であることを銘記すべきであろう。

今どき ニッポン・ウォッチング Vol.234

早氏 芳琴

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