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【今どき ニッポン・ウォッチング】陸はトヨタ、空はホンダ 国産小型飛行機への期待
日本のホンダが開発製造した小型ビジネスジェット機「ホンダジェット エリート」が、正式に報道関係者を乗せ、日本の空を飛んだ。乗客は6名であったが、熊本空港から大分空港まで、予定通りに無事到着した。最大高度約1万3千メートルで、当日は台風が通過した直後で風がまだ強かったが、揺れは小さく機内は静かであったと言う。熊本空港と大分空港は車では約2時間半かかるが、約40分のみで到着できた。
ホンダ自動車の創業者本田宗一郎氏の「日本人の手で飛行機を飛ばす」と言う強い願いが、この小型ジェット機は、米国の航空当局のお墨付きにあたる「正式証明」を既に取得し、販売できるようになっている。
最高時速は782キロ、航続距離は2661キロで、本州の隅から隅まで移動できる。米国を中心に世界では既に約220機を販売している。今度飛ばした第4機種目の新型機は、近日中に米国で発売の予定となっている。
販売価格は約528万ドル(約8億円)でかなり高価になっているが、米国の大企業に販売する目的と、ハイヤーやレンタカーなど、富豪や大企業幹部と役員の移動手段としても利用されるよう、努力するという。日本では、山間部が多いため、陸路での移動に時間のかかる地方では、緊急時でのニーズもあると期待されている。
日本の国土交通省の統計によると、日本ではビジネスジェット機があまり利用されていないのが実情である。2021年の国内空港での発着数は1万3700回と10年前より18%は増えたものの、海外に比べれば、かなり少ない。また、国別の小型ビジネスジェット機の保有機数は、米国が約2万1千機、カナダが約1300機、ドイツが約730機あるのに対し、日本は約60機に過ぎない。
米国は超富裕層が多く、国土が広くジェット機の利便性が高いが、日本には新幹線や高速道路が発達しているため、相対的にジェット機の必要性が低いのは当然であろう。日本国内での利用代金は1時間当たり約100万円以上かかるが、米国の約2倍は必要であるという。
ホンダジェット機の最大の特徴は、将来的に石油由来の燃料よりも二酸化炭素(CO2)の排出が少ない「持続可能な航空燃料(SAF)」を利用することを目指す、ことである。この件については、ホンダは既に米社とのエンジンの燃料にSAFを100%使った試験で、既存のジェット燃料と同等の性能を出すことができたとの正式発表があった。即ち「脱炭素の問題が解決された」との保証が付いたということである
わが国は目下、世界で最も大量且つ高性能の車を生産している国であり、加えてこれから我が国製造の小型航空機の性能が好評を得るようになれば、きっと世界各国の人々の生活の利便性により良い貢献ができるようになるであろう。
今どき ニッポン・ウォッチング Vol.245
早氏 芳琴