このタイトルを見て、「ウソ！」と思われた読者がいらっしゃるかもしれない。この、いつも地震や台風の被害に泣かされ、常に「災害大国」と揶揄されてきた島国が、世界第一位の観光資源国であることが信じられない、全くの「奇想天外」も甚だしい限りである、と批判されそうである。だが、これは根拠に基づく調査結果であり、世界に認められている事実である。

　スイスの民間研究機関の世界経済フォーラムが2021年の旅行・観光の魅力度ランキングを正式に発表した調査結果である。日本を含む対象117カ国・地域の中で、我が国は堂々と世界ナンバーワンである、と公式に発表されたのである。2007年からの調査開始以来、日本がトップになったのは今度が初めてであり、米国は2位、スペインが3位となっている。

　112種類の審査項目のうち、日本は交通インフラを始め、文化、自然などの観光資源で、全て高い評価を獲得していた。交通インフラでは、案内板の外国語表示が増えたほか、鉄道会社が発行するICカード乗車券などで、外国人が利用しやすくなったことである。また、新幹線など鉄道の時刻の正確さの他に、航空事業では、格安航空会社による低価格化や地方空港の乗り継ぎのしやすさが高く評価されたのである。

　次に評価が高かったのは、我が国の治安の良さ。日本社会における犯罪の発生率の低さも順位を押し上げた。ロシアのウクライナ侵攻やコロナ禍の蔓延による社会不安の排除を求める上で、現在の日本が他国より安全であると思う人が大勢いることも高得点につながっている。加えて日本国民の、清潔さを好む生活習慣も注目される。

　また、世界文化遺産や日本の祭り及び伝統芸能などの観光資源の豊かさも言わずもがなである。最後になったが、近年日本の美食を楽しみに訪日客が急増している点も、意外と高い評価を獲得している。

　わが国が「観光立国」を掲げて訪日外国人の誘致に力を入れ始めてきたのは近年のことである。確かにコロナ禍が猛威を発していた数年前では、隣国の中国人客が大挙して来日し、日本全国に大量の旅費を撒き散らした一時期があってから、我が国の観光業に対する期待と熱意が一挙に爆発したかのように、日本列島の至る所に中国語の「您好!」や「再見！」が響き渡っていた。

　目下、コロナ禍はまだ完全に終息してはいないが、過去の一時期に訪日したことのある外国人観光客が、日本での心のこもったおもてなしを受けたその感動は忘れられないものかもしれない。是非とも再度、この礼を尽くす美しい国の人々にお会いしたい期待が急速に募る気持ちが想像されよう。

　我々日本人は、自国の観光資源にもっと自信を持ち、対外的に発信力を高めることで、我が国の国際的地位の更なる向上に尽力すべきであると思われる。