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今どきニッポン・ウォッチング

【今どき ニッポン・ウォッチング】「鉄道大国」である日本の悩み

 多数の訪日外国人が、日本の報道関係者に訪日期間の感想を聞かれる時、常に満面の笑顔で異口同音に応えるのは、「最高でしたよ!」という言葉だった。「なぜ?」と聞くと、「特に、日本の交通機関が素晴らしい」のだとか。

 「高速道路であろうと、鉄道、地下鉄、全てが世界一よ!」と、にっこり笑って手を振り、「また来るよ!」と帰って行くのである。

 確かに、近年の訪日客が常に強調する日本の交通機関に対する称賛は、日本の鉄道の「快適さ、時間の正確性や安全への配慮、それに駅員の規律正しいサービス精神」などにその満足度が強調されるのである。

 新幹線や大都市の東京や大阪等で展開されている鉄道輸送の現状は、既に世界の国々にその素晴らしさを称えられているゆえに、何も付け加える必要がないからであろう。

 しかし彼らは、日本の地方都市のローカル鉄道を利用したことがないというところに、大きな問題がある。

 世界有数の「鉄道大国」と称されてきた我が国の鉄道輸送の設備においては、全国の各市町村、いわば津々浦々に鉄道網が張り巡らされ、それは人体の血管同然に展開されている。だが実は、今日ではそれが却って地方自治体にとってマイナスの負担となってしまっているのである。

 その最大の原因は言うまでもなく、我が国の人口構成に急激な変化があったからである。今や日本は、少子高齢化の最も厳しい国のひとつであることは皆ご承知の通りである。それゆえに地方におけるローカル線沿線では、人口が極端に減少しているのはまぎれのないない事実である。

 目下、地方における鉄道輸送各社はいずれも酷い赤字経営に陥っており、廃線の運命に直面しているのが偽りない実態である。曰く、ローカル鉄道が100円稼ぐのに、その数十倍、いや数千倍の経費がかかると言うのである。

 最も極端の実例を一つ挙げてみると、JR東日本のある執行役員が言うには、「あるローカル線の収支が、2019年度と2020年度ともに35度線66区間がすべて赤字である。そのため100円稼ぐため2万2千円を超えるコストがかかる路線もあった」というのである。全てがこのような極端の例ではないが、地方のローカル線が厳しい経営難に直面し、将来バス運行への転換に陥るか、廃線の可能性もあるのだ。

 加えて、ここ数年コロナ禍の影響による、外出自粛の協力要請もあってか、地方のローカル線の経営が益々厳しくなってくるのは、避けられぬ事態となってきているのである。

今どき ニッポン・ウォッチング Vol.241

早氏 芳琴

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