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今どきニッポン・ウォッチング

日本「空飛ぶクルマ」のルール設定に着手

日本「空飛ぶクルマ」のルール設定に着手

 SF映画の中での乗り物と思われていた「空飛ぶクルマ」の開発競争が、近年、世界で激しくなってきている。多くの企業が開発を急ぐ背景には、世界の都市部で激しい交通渋滞が増え続け、経済的マイナスにつながっているからである。

 米モルガン・スタンレーの試算によると、世界全体の空飛ぶクルマの市場規模は、40年までに約1兆5000億ドルに拡大する見通しである。

 今や、名実共に世界一のクルマ製造国になった日本が、「空飛ぶクルマ」のルール設定の工程表を正式に発表した。時代が遂に「クルマが本当に空を飛ぶ」新時代に入ってきたと、人々を驚かせ、戸惑わせてもいる。

 

 我が国が今、この新しい行程表を作る背景には、世界的に「空飛ぶクルマ」の開発競争が加速しているからでもある。米国や欧州、中国ではこの新興産業の開発・実用化に向けた動きがここ数年活発化している。日本航空が出資している独ボロコプターは、シンガポールの都市部で飛行試験を行い、23年までの定期運航を目指しているという。中国資本が量産工場の建設を発表しているベンチャー企業に、出資を予定している日本企業もあるという。

 「空飛ぶクルマ」市場は、自動車や航空機エンジンと言った日本の製造業の強みを生かせる産業分野であり、政府としては新たな工程表を造ることで、先行する海外勢を追い上げたい考えがあると思われる。

 

 工程表発表の目的は、2023年までに離島で確実に『空飛ぶクルマ」の幕開けが現実に始まることを念頭に、先ずはルールを定め、25年には本格的に旅客輸送を可能にすることである。この様に具体的な開発スケジュールを設定することで、今後さらに世界で激しくなる開発競争に我が国が対抗できる環境を正式に整え始めることになったのである。

 工程表によると、まず、23年を目標としての離島間の貨物輸送を事業化し、25年からは、港湾地区で観光客を乗せて飛行し、30キロ程度離れた場所を結ぶ定期便を運航させる等の計画を設定する。30年以降からは、都市部の物流に利用することも視野に入れて無人飛行の可能性を探るという。

 次にこの新たな工程表は、将来的な利用例を明示し、実現に向けて必要なルールの整備と課題の洗い出しを行うことになる。クルマが空を飛ぶことになるので、操縦士の資格や飛行区域・高度、それに機体の安全基準等々各種ルールの策定を急ぐ必要もあり、航空法に基づいて、新たな規則や指針を設定する。25年に予定されている大阪・関西万博では、会場となる人工島・夢洲(大阪市)と、関西、神戸両空港の間で利用者を乗せて飛行できるようにする予定であるという。

 つまり、我が国の政府機関がこの「空飛ぶクルマ」の工程表を公表するに至ったのは、我が国のこの分野における技術の優位性を堅持し、自国の経済発展に遅れが生じないように期待しているからであると言えよう。国民にとって「新たな脚」となるであろう「空飛ぶクルマ」の開発に、国民からの支持や支援も期待されている。

今どき ニッポン・ウォッチング Vol.212

早氏 芳琴

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