- ホームページ
- 今どきニッポン・ウォッチング
- 【今どき ニッポン・ウォッチング】空飛ぶクルマの開発競争、約200社が競い合う、日本メーカー頑張れ!
【今どき ニッポン・ウォッチング】空飛ぶクルマの開発競争、約200社が競い合う、日本メーカー頑張れ!
今やこのSF映画に現れている人間の新しい乗り物の開発競争が、全人類注目の的となっている。この激しい開発競争に参加しているのは全世界の約200社以上の有名企業で、皆が社運を賭けた、勝つのみあって、決して失敗は許されない戦いであるがゆえに、その競争の熾烈さは大変なものがある。
所謂空飛ぶクルマとは、高度数十~数百メートル程度を飛び、乗れるのは1~4人ぐらい、垂直に離着陸でき、自動運転でパイロットのいらない乗り物をさすことが多く、大きいドローンのようなイメージである。
注目を集めたきっかけは、アメリカの配車サービス会社「ウーバー・テクノロジーズ」が2016年に発表した「空のタクシー」計画であった。2023年の実現を目指し、具体的なビジネスとしてのイメージを世界に示した。
日本では、トヨタ自動車の出身者らによるベンチャ―企業「スカイドライブ」も、2023年の実用化を目指していた。多くの企業が開発を急ぐ背景には、世界の都市部では交通渋滞が激しくなっており、経済的なマイナスにつながっているからである。交通渋滞の解消にビジネスチャンスの改善を見いだしたいからである。
空飛ぶクルマは、部品点数が少なく、既存の航空機に比べて安く生産できる。訓練を積んだパイロットも必要ないし、大量生産すれば、タクシー並みの料金で乗れるようにもなると予測されている。
しかし、課題もある。人を乗せて空を飛ぶには、安全面を含め、厳しい審査が必要である。国内の6.5万人を対象にしたアンケートでは、約7割が空飛ぶクルマが上空を通過することに、不安や反対と答えているからである。
安全に離着陸できる場所の確保や、比較的低空で飛ぶため、飛行コースの下に住む住民の同意や不安解消も重要である。
空飛ぶクルマには、道路上での車の渋滞を避けることができるし、離島や山間部での移動や、災害時の人命救助の手段としての利用も期待できる利点がある。今後、私たちの生活で使われるには、人々に安全性と利便性を理解してもらうことがもっとも大切になる。
我が国は、比較的大きな4つの島と多くの小島によって構成された島国国家である。それに人口密度が極めて高いため、全国各地には人々が思いのままに住居を構えることができるようになると、山間や海辺であろうと、いたるところに人間が住むようになる。そのため我が国のような特殊地形の国では、地上のみで走る車よりも、空間でも飛び回ることのできる車がより必要であることは言うまでもない。空飛ぶクルマの開発が成功するのをどの国よりも待ちどおしいのはそのためである。
今どき ニッポン・ウォッチング Vol.268
早氏 芳琴