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今どきニッポン・ウォッチング

日本、コロナ治療薬の開発を急げ!

日本、コロナ治療薬の開発を急げ!

 コロナ蔓延の猛威が少しも衰えていないばかりか、終息の気配すら見えなく、全世界を恐怖に陥れている今日この頃である。人間と疫病との闘いがこれほどに手を焼き、苦戦を強いられているのも、人類史上稀有なことである。

 ところで、日本は経済先進国の一員であり、医療先進国でもありながら、コロナ撲滅への対抗手段を何一つ備えていなかったことを思うと、情けなく思わざるを得ないのである。 

 実際、わが国の製薬各社は新型コロナが国内で蔓延し始めてから、治療薬の開発を進めてきた。目下、コロナ禍に対抗するためのワクチン接種は進んでおり、60才以上の高齢者の感染率の低下という成果は上げているものの、50歳以下の若年層の感染者の増大と重症化が問題となっている。そこで感染した患者が重症化せずに治癒するための治療薬の開発が喫緊の課題となっている。

 

 政府は2020年度補正予算で、製薬会社が国内で実施する治療薬の臨床試験を支援するため、70億円を計上している。この支援対象の一つに選ばれたのが、中外製薬が厚労省に承認申請した「抗体カクテル療法」と呼ばれる点滴薬であり、米国リジェネロン社が開発し、すでに米国では緊急使用許可を得ている。海外の治験では、入院や死亡のリスクを7割減らす効果が確認されたという。中外製薬は他にも、幅広い症状に対応できる飲み薬の治験も進めている。その一つが自社開発した関節リウマチ治療薬「アクテムラ」であり、これを新型コロナ治療用に転用できるよう、年内にも国内で承認申請する方針であるという。

 一方で、治験はまだ開始していないが、開発に乗り出すメーカが相次いでおり、塩野義製薬も名乗りを上げている。同社は、患者体内のウイルス量を減らす経口薬の製品化を目指している。担当部署の責任者は、「近く治験を始め、インフルエンザ薬の様に服用開始から数日以内に、ウイルスが消失する薬にしたい」と話している。

 他方で、再生医療を応用した薬の実用化を目指すのが、ヒューマンライフコード社である。同社はへその緒に含まれている幹細胞を使って、肺組織の炎症を抑え、修復を助ける薬を開発しており、重傷者に多く見られる「『急性呼吸窮迫症候群(ARDS)』の治療に使うことを想定している。」と同社の社長が述べている。同社の方針は「重症者が減れば、病床の逼迫を解消できる」と言うのである。

 この他にも、田辺三菱製薬、日本新薬、ヒューマンライフコードとロート製薬等々の製薬会社も、総力を挙げて新薬の開発に努めている。さらに海外において、各国で開発中の経口薬の臨床試験には、日本も積極的に参加している。政府は有望な新薬の臨床試験を進めている複数の企業に対し総額12億円を補助することも決めている。

 

 新型コロナウィルスによる疫病の蔓延は1年延期の東京五輪の開催と重なり、我が国にさらなる厳しい試練をもたらした。やがて訪れるであろうコロナ禍の終息後には、これらの貴重な経験を重要な教訓として心に刻み、同じような災難を未然に防ぐ心構えや準備が必要とされよう。

今どき ニッポン・ウォッチング Vol.211

早氏 芳琴

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