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今どきニッポン・ウォッチング

【今どき ニッポン・ウォッチング】伝統か多様化か…日本の国技“相撲”はどうなる?

 日本相撲協会は、今年の春場所から、大相撲の横綱審議委員会(横審)の委員8人の中に女性委員2人を委嘱した。元国会議員の池坊保子さんと、俳優の紺野美沙子さん、お2人である。相撲協会によると、この新しい決定は「女性の目線も大事にするべきである」という基本方針に基づくものであると強調している。横審に初めて女性委員が委嘱されたのは、2000年に脚本家の内館牧子さんが初めてであり、5期約10年間の大任を果たした。

 横審の最大の役目は、強い大関を横綱に推薦することである。相撲協会が力士を横綱にする時、横審に意見を聞くことになっている。それを横審が推薦すれば、相撲協会が昇進を決めるのである。横審には「品格、力量が抜群で、2場所連続優勝か、それに準ずる成績を挙げた力士」という判断基準があり、話しあった上で推薦を見送ったこともあった。

 横審は、昇進した横綱のチェックを続けることで、横綱のお目付け役ともいわれ、横綱の成績が悪かったり、素行に問題があったりした場合は、重い順に「引退勧告」「注意」「激励」が決議できる。決議に強制力はないが、それなりの重みがある。2020年に休場が多かった白鵬、鶴竜の両横綱が注意された実例があり、話題になった。

 目下、日本には外国出身の力士が大勢いる。特にここ20年はその傾向が顕著で、曙、武蔵丸、小錦などハワイ出身の力士や朝青龍、白鵬などのモンゴル出身者が有名であった。2016年における幕内力士42人のうち、16人が外国出身の力士であるという調査結果が出ている。つまり、3人に1人以上が外国人力士という計算になる。外国人力士が特に強いのは日本人力士に欠けているハングリー精神が旺盛で、横綱に昇進すれば一攫千金、約1億から3億円ほどの年収を得ると言われる。

 日本の相撲にはもう一つの決して揺るぎない伝統的特色がある。それは、日本の相撲は伝統の国技であると同時に神事であることで、これは外国のスポーツにない特色である。土俵の上には「神」がいる場所であるというもので、そのため本場所の前々日には、出雲大社教神官の神事が行われ、それが地鎮祭と同じ意味を持つ神事が行われるからである。それ故に、土俵は古くから女人禁制となり、21世紀の今日に至っても、女性知事が優勝した横綱への優勝トロフィーを、土俵上で自ら手渡すことが許されないことになっている。

 我々日本人は、相撲におけるこの伝統的な神事を守りぬくことの大切さを熟知した上で、相撲がこの様に急速に国際化し、参加する国と民族が多様化している状態下では、堅持すべき伝統は堅持し、時代にあった改革も決して怠ってはならない。それがこれからの我が国の国技である相撲が、永遠に発展して行く理想的な道ではないだろうかと思う。

今どき ニッポン・ウォッチング Vol.236

早氏 芳琴

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