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今どきニッポン・ウォッチング

正真正銘の日本産バナナ、遂に誕生

正真正銘の日本産バナナ、遂に誕生

 日本には四季折々に、多種多様な美味しい果物が生産され、且つ世界各国にも輸出されている。しかしながら今、日本の青果市場で最も値段的に安く、大量に消費されているこの果物は、すべてが熱帯や亜熱帯各国から輸入されてきた、外国産のバナナである。

 値段が特に安く、栄養価も高いバナナは、今や日本人にとって有り難い貴重な輸入の果物として、多くの日本人に歓迎されている。

 残念なのは、日本は地理的位置により、国内でのバナナの栽培は不可能であると思われ、ずっと外国からの輸入に頼ってきた。それがなんと日本の「雪国地方」である新潟県柏崎市のビニールハウスで、新種のバナナ栽培に成功したというのである。

 しかも、この新種のバナナは、植物の新種改良の専門家によるものではなく、一人のバナナ愛好家の手によって、生まれてきたのであるから、その驚きは尚更である。彼女は霜田真紀子氏。本業は、地元で産業廃棄物処理業を営む会社の常務である。

 

 彼女が言うには、このバナナは、糖度の高い最高品種のグロスミッチェル種であり、ビニールハウス内で、自然の状態で完熟させ、農薬は一切使用せず、化学肥料も使わないため、甘みが際立ち、なんと皮まで丸ごと食べられるのだそうだ。評判が広まり、昨年は収穫前から予約が殺到したという。

 「越後バナナ」と命名されたこのバナナは、値段1本千円以上の高価格で売りだしたが、物珍しさもあってすぐに売り切れとなった。現在日本で流行りの「ふるさと納税の返礼品」としても人気があり、昨年は一本一本を贈答品として販売もしたが、約100本のセットがたちまち売り切れてしまったという盛況ぶりである。多くの消費者の求めに応えるため、霜田さんは急遽約7千万円をかけて、2棟の新ビニールハウスを立てて増産に取り掛かり、世界初めての、皮まで甘く食べられる新種のバナナの生産に、全力を注ぎたいと決意を表明している。

 

 同社はもともと鋳物を造るための砂を製造しており、砂のリサイクルを手掛け、産業廃棄物の焼却施設も建てていた。バナナ栽培は全くの畑違いではあるが、産業廃棄物の焼却施設から出てきた排熱をビニールハウスに引き込むことで、室内の温度を常に24度に保つことが可能になり、この新種のバナナの栽培に成功したようだ。云わば本業からの延長線上における、排熱を再利用した循環型の新事業の成功例であると言えよう。

 日本人は、昔からバナナが大好きの様である。そのため、如何にしてこの国でのバナナ栽培が成功するようにとずっと期待して来た。その願いが遂に叶えることが出来たばかりか、皮まで食べることのできるオマケまでついた新種のバナナの誕生は、日本人にとってその喜びはひとしおに違いない。

今どき ニッポン・ウォッチング Vol.198

早氏 芳琴

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