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今どきニッポン・ウォッチング

【今どき ニッポン・ウォッチング】かつての半導体生産大国の栄誉をもう一度!

 世界の半導体産業を取り巻く状況が複雑化し、半導体のサプライチェーンが不安定要素を抱く状態下では、かつて世界を席巻したことのある「日の丸半導体」が、再興を目指す最高のチャンスが、またやってきた。

 この千載一遇の好機を逃がすまいと立ち上がった日本の大手企業8社が、共同出資し新たに設立した斬新的な新半導体会社が「ラピダス」(Rapidus)社であった。この8社の企業とは、トヨタ、ソニー、NEC、キオクシア、三菱UFJ銀行、ソフトバンク、デンソーとNEC等である。共同出資金は総額73億円に達し、それに日本政府もこの新会社に700億円の補助金を与える意向を示していると言うのである。「ラピダス」とはラテン語であり、「速い」を意味する。

 実は、この新会社は、日本の経済産業省の肝いりで設立されたものである。東大や産業技術総合研究所それに米IBMなどが参加する共同研究開発拠点であり、年内に立ち上げることも表明されている。いわば産官学が連携し、次世代新半導体の量産に向けた新技術を確立し、生産をラピダス社が全面的に請け負う構想となっている。

 かつて、日本は1980年代に世界の半導体生産ではシェアの5割を占めていたが、その後、韓国や台湾の企業の台頭などで生産量が1割まで下がってしまった。しかし現在我が国では経済安全保障の観点から、半導体の国産化を進めて行かねばならなくなってきたからである。

 我が国は2022年度の第2次補正予算案に、半導体関連予算として13千億円を計上し、財政支援を続ける予定になっている。経産省は昨年6月に新半導体戦略を策定していた。低迷する半導体産業へのテコ入れを「国家事業」と位置づけ、先ずは国内生産基盤を強化する方針を打ち出した。

 そこで、台湾積体電路製造社(TSMC)とソニーグループなどが熊本県に造った工場に補助金最大4760億円を出すことを決めた。 

 日本の先端半導体の生産能力は米国や台湾、韓国に遅れている。そのため、これらの国々との共同研究を進める必要があるため、共同研究開発の組織を立ち上げる必要もあり、その拠点も近日中に発表される予定となっている。

 全て近代的に発展し続けることを願う国家とその国民にとって、半導体は決して欠かすことのできるものはなくなった。特に日本のような強みのある車産業や、成長が期待されているロボット産業などでは、半導体の供給が欠けることになると、全てがお手上げとなってしまうのである。しかも、今日のような米中の技術覇権が激化する中、経済安全保障の観点からも、半導体の重要性は増すばかりである。そのため、我が国のこの新政策は、極めて大切であったと言えよう。

今どき ニッポン・ウォッチング Vol.250

早氏 芳琴

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