久しぶりに風邪をひきました。
何もする気力がないので、友人からもらった『殺人犯はそこにいる』を読むことに。なぜ犯罪ノンフィクションなんかを選んだのかというと、頭を使いたくなかったから。この手の本は書くのにものすごく頭を使うと思うけど、情報が整理されているのでこちらは何も考えずに読めるはず。
この本はかなり売れたので知っている人も多いと思いますが、一応解説すると、北関東で17年間に5人の少女が誘拐・殺害(1人は行方不明)された事件を扱ったもの。半径10kmという狭いエリアで発生していることから、同一犯の犯行ではないか? と思いついた著者の清水潔氏(ジャーナリスト)が、真犯人を見つけ出す! という、ミステリー小説よりもすごい展開。しかも実話。この現場というのが群馬と栃木の県境付近なんですよ。私は群馬県出身で、このあたりに親戚も住んでおるのです。清水氏はなんと真犯人を本当に見つけてしまうのですが、なんとその人物はいまだに捕まっていない! なぜそんなことになるのか? 冤罪事件などいろいろ絡んでいるんですが、一言で説明するのは難しい。なんというか、手品かトリックみたいなんだよね。気になる方は読むべし。
ものすごい本だったため、弱っている身には打撃が強すぎた。ちょっと口直しに違う本を読もう。ということで、別の友人からもらったミシェル・オバマの『マイ・ストーリー』に移行。これも有名すぎるので説明不用だと思いますが、前アメリカ大統領夫人の回想禄です。
オバマ大統領が就任したのは(2009年)、私がハワイに移住した直後だったんですよ。でもミシェル夫人に関しては、私はあまり知らなかったんですよね。元弁護士ってくらいしか。きっとええとこのお嬢様だったんだろうと思いきや、ぜんぜん違ったのでびっくり。
ミシェルさんはシカゴのサウス・サイド出身。ここって犯罪多発地域として有名なところなんですよね。でも80年代までは今ほどひどくなかったみたいです。
ミシェルさんの実家は決して裕福ではなかったし、両親も高卒の労働者。それがどうやってプリンストン大学からハーバードのロースクール?と思ったら、スーパー優秀だったんですね。でも単に優秀だっただけでなく、ものすごく志が高くて努力家。小学2年生で「もっと勉強したい」って子、なかなかいないよね?
シカゴの実情やホワイトハウスの生活もおもしろかったけど、オバマ元大統領との出会いのシーンはかなり盛り上がりました。
いやあ、それにしても、こんなに志の高い人っているんですね。先の真犯人と違いすぎて衝撃。人間の種類って幅が広すぎる!
というわけで、どちらもおススメなので、気分にあわせて選んでね!
No.273
相原光(アイハラヒカル)
フリーランスライター&翻訳
群馬県出身、早稲田大学卒業。2008年結婚してハワイに移住。夫は寿司シェフ。2012年4月双子猫パンとマーチを連れてハワイ島に引越。8月に玄米寿司とムスビの持ち帰り店「DRAGON KITCHEN」を夫婦でヒロにオープン。現在ライター兼寿司屋のお手伝いとして活動中。姉は漫画家の花福こざる。
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