ある朝目覚めたら部屋が水浸しになっていた。
事件が発覚したのは、4月2日月曜日、午前5時ごろ。健やかに眠っていた私は夫に起こされた。何が起こったのかと思ったら、夫の仕事部屋兼倉庫に水がたまっていたのだった。水深は、2~5センチくらい。
部屋の広さは約22×12フィート(6.7×3.6m)。もともとガレージだったところを無理やり改造した部屋なので、床はコンクリートの打ちっぱなし。ゆえに水は床にしみ込まない。
夕べは雨が少し降っていたとはいえ、洪水になるほどではない。なぜにこんなことに?
原因はウォータータンク(water tank)だった。アメリカの給湯システムというのは、温めたお湯をタンクに入れておいて、そこから給湯するという仕組みになっている。タンクに入れたお湯を温めて、冷えないようにずっと保温しているわけですね。
ウォータータンクというのは、そのお湯を貯めるためのタンク。日本人が聞くと意味不明な仕組みだよねー。日本の瞬間湯沸かし器に比べると、信じられないほど効率が悪い。なぜいまだにこのシステムが一般的なのか? わかりませぬ。
夫の調査によると、おそらくタンクに穴があいて水が漏れたのだろうとのこと。確かに、たまっている水は、ほんのりと暖かい。タンクは部屋に隣接するランドリールームに設置されている。タンクの大きさは細身のドラム缶くらい。その中の水が全部流出したとなると、いったい何ガロン?
我々は箒とちりとりを使って水をすくい、バケツに入れていった。気が遠くなるような作業である。ハリケーンで水害にあった人たちは、もっと大変なんだろうなと自分を慰める。
そういえば、夜中にコンプレッサーが何度も動いていたんだよね。水を使ってないのになんで動いてるんだろう、うるさいなーと思ったけど、眠かったので無視してた。あの時見に行っていたら、こんな惨事にならなかったのに。
不幸中の幸いで、部屋においてあった物はひとつも濡れなかった。元ガレージのため、床が平らじゃないので、水の溜まり方にムラがある。そしてたまたま水が溜まる位置に物が置いてなかったのだった。なんたる幸運! ギターとかコンピューターが水没しなくて本当によかった。二人で水をすくっていたら、思ったよりも早く作業終了。この間、我が家の猫はずっと寝てました。
午前9時ごろ、大家さんが新しいタンクを買ってきてくれた。古いタンクは底に亀裂が入っていた。40年くらい使っているというかなり古い品なので、単なる劣化とのこと。タンクの交換は1時間ほどで終了。ついでにキッチンのストーブ(日本のコンロに相当。ただしもっと大きい)の不調を訴えたところ、なんと新品に交換してくれました。やった!
というわけで、大変な1日でしたが、一件落着。その後数日、部屋には泥亀の臭いが漂っていたそうな。ほーれほー。
No.264
相原光(アイハラヒカル)
フリーランスライター&翻訳
群馬県出身、早稲田大学卒業。2008年結婚してハワイに移住。夫は寿司シェフ。2012年4月双子猫パンとマーチを連れてハワイ島に引越。8月に玄米寿司とムスビの持ち帰り店「DRAGON KITCHEN」を夫婦でヒロにオープン。現在ライター兼寿司屋のお手伝いとして活動中。姉は漫画家の花福こざる。
like us on facebook “Dragon Kitchen Hilo”