夫が急遽日本に行くことになり、私は2週間のお留守番となりました。私はテニスやヨガに励み、フラに通い、ジョコヴィッチの過去の試合を見て、Duolingoをやって、パンを焼いて、マフィンを焼いて、チビ(猫)を独占。と、ひとりの時間を満喫しておりました。
せっかくだから、この機会に長い本でも読もうかな? と思って本棚を漁っていたら、カフカの短編集を発見。読んだ記憶がないので、読むことにしました。
これが強烈におもしろくて、大カフカブームが起こってしまいました。いやあ、もともと好きだったけど、最近読んでなかったんだよね。
私が読んだのは、筑摩文庫から出ている中短編集全3巻のうちの1冊で、『カフカ・セレクションⅡ 運動/拘束』というもの。短い作品が多く、2008年の新訳なので読みやすい。中でも私が最も気に入ったのは、『公園の藪』と『巣造り』の2作。『公園の藪』は、たったの2ページなので、このコラムの代わりに掲載してほしいくらいです。ストーリーは、「気が付いたら公園の中にある茨の藪の中に入り込んでいて出られない!」というもの。なんじゃそりゃ!
公園の人に助けを求めるんだけど、「勝手に入って泣き言をいうな」とか「公園部長の許可が必要だからちょっと待て」とか言われてしまうという。ああ、おもしろすぎる。
『巣造り』は、タイトルの通り巣を造る話。地面に穴を掘って巣を造り、「素晴しい巣が完成した!」と思ったら、奇妙な音がし始めて、誰か入ってきたんじゃないかとだんだんパラノっていくというもの。この主人公が、どんな生き物か分からないんですよ。道具を使っていないので、私は微生物とか昆虫くらいの小さいものを想像しながら読んでいました。
でもこの巣はかなり広い。出入口とダミーの出入口が1000歩くらい離れているとか、100メートル間隔で広場があるとか書いてある。となると微生物よりは大きいよね?途中でネズミを食べたりしていたので、タヌキとかモグラくらいなのかなあ?
姉に意見を伺ってみると、姉は「人間」を想像していたとのこと。なんで人間?!人間は地下にそんな穴作らないよ!と姉妹で盛り上がりました。
『変身』と同じで、読む人によってイメージが異なるんだろうな。他の人の意見が聞きたい!
ところで、この本って誰が買ったのだろう?私は記憶がないし、夫もないらしい。「$6」というシールが貼ってあるので、アメリカのブックオフっぽいけど、ハワイ島にブックオフはない。アラモアナのブックオフで買ったとしたら、12年以上前になる。でもそんなに古そうではない。ううむ、謎だ!!
No.284
相原光(アイハラヒカル)
フリーランスライター&翻訳
群馬県出身、早稲田大学卒業。2008年結婚してハワイに移住。夫は寿司シェフ。2012年4月双子猫パンとマーチを連れてハワイ島に引越。8月に玄米寿司とムスビの持ち帰り店「DRAGON KITCHEN」を夫婦でヒロにオープン。現在ライター兼寿司屋のお手伝いとして活動中。姉は漫画家の花福こざる。
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