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大好きは魔法の言葉

サムシング・グレートに感謝して

サムシング・グレートに感謝して

 4月の終わりの頃でした。私の大好きな生命学者の村上和雄先生からお電話をいただいたのです。先生の本との出会いは私のまだ子供時代に遡ります。

 理科の授業で、人間の体がたった1個の受精卵が分裂してできたということを知りました。1個の受精卵で全く同じものが2つになり、4つになるのに、やがて細胞が手になったり足になっていくのが不思議でたまりませんでした。その謎を教えてくださったのが村上和雄先生のエッセイでした。

 私は大人になって、養護学校の教員になりました。病弱養護学校で、私は雪絵ちゃんという女の子に出会いました。   

 雪絵ちゃんは中学2年生でした。多発性硬化症(MS)という病気を発病していました。MSにもいろいろなタイプがあるようですが、雪絵ちゃんの場合は、再発する度に、目が見えにくくなったり手や足が動きにくくなる症状がありました。雪絵ちゃんはいつも前向きで、いつも「私は私でよかった」ということを繰り返し伝えてくれました。雪絵ちゃんが亡くなるときに、私に言いました。「世界中の人に、一人ひとりが違ってそれが素晴らしいということ、みんなが素敵で大切だということ。すべてがいつかのいい日のためにあることを伝えて。約束して」それが遺言になりました。

 私は雪絵ちゃんとの約束を本に書き、思いがけず『1/4の奇跡』という映画になって、不思議なことに、日本だけでなく、世界中のあちこちで上映されたのです。

 驚いたことに、その映画になんと私の憧れの村上和雄先生が出てくださいました。村上先生は、どなたにも優しく、こんな私にまでお声をかけてくださり、色々助けてくださいました。そして、4月の終わり、先生はコロナウイルスのことをおっしゃったのです。「新型コロナウイルスも、サムシング・グレートがくださった愛。人が変われるチャンスだよ。人間はウイルスと一緒に進化してきたのだから。大丈夫」。

 「かっこちゃん、僕の思いをみんなに伝えてね。僕を使って伝えてね」。私は電話口で、背筋が伸びる思いで「わかりました」と先生に約束しました。

 私はそれから村上和雄先生との約束を果たしたくて、そして、これこそ雪絵ちゃんとの約束でもあると思って、村上先生のサムシング・グレートの世界をファンタジーで書こうと、夢中で『リト』という名前の犬の冒険の話を書きました。話の中でもウイルスが猛威をふるいます。そして、先生は、サムシング・グレートに感謝して生きる生き方と、コロナのお話を書かれました。

 私は、急がなくちゃと、自分でもびっくりしたけど、モナ森出版というひとり出版社を立ち上げました。先生のみんなへの思いは誰にとっても必要だと思えてならないからです。

 私は、誰も経験したことのない新型コロナウイルスも、きっと人類は乗り越えられると信じています。そして、サムシング・グレートが私たちに教えてくれていることを忘れずに、私たちは明るく、前向きに、そして感謝しながら生きていきたいと思います。この本もまた、星の王子さまのように世界中の言葉に訳されて愛していただけたらいいなあと夢見ています。

山元 加津子

1957年石川県金沢市生まれ 富山大学理学部を卒業後、特別支援学校の教員と、作家活動をしてきたが、2014年に教員をやめ、2012年に立ち上げた障がいを持つ方もそうでないかたもみんなで幸せになろうと「白雪姫プロジェクト」を立ち上げ、その中で意識障害の方の回復の方法と意思伝達の方法などを伝えている。

http://shirayukihime-project.net

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