NYに戻ってきてはや1ヶ月が過ぎ去った。テンポの速い目まぐるしい大都会、マンハッタンでの生活は日本で滞在していた2ヶ月の余韻をいとも簡単に上書き保存していった。たった2ヶ月留守にしていただけで、この街はまた変わっていた。近所の空き店舗に新しいレストランが次々とオープンし、反対に今までお世話になっていたお気に入りのお店が無くなったり。見慣れた街がまるで映画の早送りを見ているかのようにどんどん変化していく。
スーパーへ行くとミルクに卵にお野菜にフルーツに、すべてがまた値上がりをしている。近所のよく訪れていたレストランも値上げ。ごくごく普通のレストランで軽くランチをするだけで一人5000円は超える。まるで上昇するロケットをテレビ越しに見ているような勢いで、どこまでも上がっていく物価。急激な変化についていくのもやっと。
マンハッタンでの暮らしもそろそろ考えないと…と思っていると心の声が漏れたのか、ユーチューブオススメ動画でタイのバンコク移住が急に目の前に現れた。思わずクリック。そこには、今の自分の生活とは真逆のような暮らしぶりが映し出されていた。毎日外食する動画主。それでも一食あたり150円ほど。アパートの家賃は1ヶ月1万円から。50歳を過ぎると外国人に対して移住ビザが発行可能だという。年齢的にまだこのビザは難しいとしても、物価のあり得ないほど激高しているニューヨークをしばらく離れてバンコクに暮らすという方法もあるではないか。
人間、どこかに新しい道があることを知ると急に暗闇に光が差し込んだときのように、気分が明るくなる。バンコク生活が夢ではないと知った日から、どこか焦る気持ちもやわらいできた。
「世界は広い。選択肢は山ほどあるよね。」そんなことを思っているとふとフェイスブック上である1枚の写真が目に留まった。
馬がプラスチックのイスにつながれたままじっとしているとう、なんとも奇妙な光景。いくらつながれているとはいえ、馬が動いたらプラスチックのイスなんて一歩で引き摺れることは簡単に解かるのに。それでも馬はじっとしている。写真とともに英語で文章が添えられていて、要約するとこんな感じ。
「あなたを妨げているもの。それはぜんぶあなたの頭の中にあるよね」
そう。自分では無理だとか、今までがこうだったからっていう古い常識だったりだとか、自分の勝手な思い込みに支配されてはいないだろうか。心の中を探って見ると私にはこういったことがたくさんある。だからこそ、このあまりにも的を得た写真を見て思わず笑ってしまった。
幻想の囚われから解放して自分をもっと広い世界へ連れて行こう。まずは、今、こうやってまだニューヨークで生きていけている自分を褒めてあげて感謝して、次なるジャーニーへ出かける準備を始めようと思う。人生の旅はこれからも続く。
私の旅ストーリー
大森 千寿
NY在住。香川県高松市生まれ。アーティスト・作家・アートセラピスト・米国NLP協会認定マスタープラクティショナー・現代レイキマスター。NY・ハワイ・日本の3箇所にアートスタジオを構え活動。著書に、amazon電子書籍「ハワイに不動産を購入して人生10倍楽しむ方法」「ハワイで聞いた! 32通りの生き方(第一弾)」「人生の冒険」がある。NYで新しい扉を開く2日間プログラムやニューヨーカーと行く穴場ツアー、アート最前線ガイドなど開催中。 www.chizuomori.com ameblo.jp/adamwestonart
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