アパートまえに新しいビルが建設中。毎朝、午前7時01秒をすぎた瞬間から街に爆音が鳴り響く。常に「新しい」が詰まっているマンハッタン暮らしは、いたるところで新しく建設中で、工事音。救急車、消防車のサイレンと工事音とがたまに重なり、独特の都会音を生み出している。
瀬戸内の穏やかな街で生まれ育ったわたしにとって四六時中、いたるところで爆音が鳴り響く生活は想像以上にこたえる。それも、コロナの期間、約2年に近く静まり返った街を経験した反動もあるのだろうか。
そんな中、日本の入国規制緩和を受け、即、帰国のチケットを手配した。実に4年ぶりの帰国。またいつ閉鎖されるかわからない。帰れるうちに帰っておこうと、アメリカ人の夫と即決。日本に帰国すると、ビザの更新や運転免許の更新、健康診断など事務的なことが山ほどある。
ふるさとを懐かしむ間もないほどに、4年分のできていないままになっているものごとを動かす時間。出発は、明日に迫っている。
帰国する前にPCR検査やアプリの登録など今までのように簡単には日本へ入国ができない今、これまで当たり前のように3ヶ月ごとに日本とニューヨーク、ハワイを行き来していた生活がまるですべて夢だったかのような気持ちになる。何はともあれ、やっとここまできたのだ。日本に帰国できるよろこび。
よろこびとともに今まで味わったことのなかった不安も襲ってきた。自国へ帰ることがここまで不安になるなんて。「たった4年日本に帰っていないだけだよ、まわりには数十年も帰国していないひとたちもいっぱいいるよね?!」そう言い聞かせても人は人、わたしはわたし。やはり言いようのない不安が残る。この新しい感覚を味わえたのもコロナのおかげだな。いっそのこと、この不安な気持ちを楽しんでやろう。自国へ帰ることへの不安を楽しむ。不安に「楽しむ」をくっつけた途端、急に心が軽やかになった。なんて単純なのだろう。笑。
せっかく帰れるのだから、思いっきり楽しんじゃえ。不安も恐れもぜんぶぜんぶ楽しんじゃえ。
久々の日本で感じること、体験すること、新しいアドベンチャーの始まりだ。またここで旅について書ける喜びを噛み締めながら出発したいと思う。
私の旅ストーリー
大森 千寿
NY在住。香川県高松市生まれ。アーティスト・作家・アートセラピスト・米国NLP協会認定マスタープラクティショナー・現代レイキマスター。NY・ハワイ・日本の3箇所にアートスタジオを構え活動。著書に、amazon電子書籍「ハワイに不動産を購入して人生10倍楽しむ方法」「ハワイで聞いた! 32通りの生き方(第一弾)」「人生の冒険」がある。NYで新しい扉を開く2日間プログラムやニューヨーカーと行く穴場ツアー、アート最前線ガイドなど開催中。 www.chizuomori.com ameblo.jp/adamwestonart
シェアする