コロナウイルスのはなし
未知のウイルスが世の中にはびこり、人々は病に倒れ、パニックに陥り、そして命さえも落としていく。各国首脳は国境を閉鎖、非常事態宣言を発令。信頼できる医療すらも崩壊の危機に立たされ、経済はストップ。生活必需品にすら事欠くようになり、人々はただ目に見えない恐怖に振り回され、怯え、そして我を失って行く。なんてのは映画の世界だけの話だと、つい先日まで思っていました。ありがちなB級ゾンビパニックホラーによくある展開で、もし私がスクリーンでそれを見たならば、なんて陳腐な冒頭シーンだと一笑に付したことでしょう。ところが、皆様もよくご存知の通り、新型コロナウイルスによってそれは現実となってしまいました。
新型コロナウイルス、COVID-19と名付けられたそれは、ヒトに感染すると重篤な呼吸器疾患をも引き起こす可能性があるといわれています。中国に端を発し、日本や韓国、イランやイタリアでは猛威を振るっています。
アメリカでも全州での発症が確認され、ハワイでも厳戒態勢が敷かれています。公園は閉鎖されていますし、レストランやバー、ショッピングモールは閉鎖もしくは営業短縮、あるいはテイクアウトのみなどの変更がなされています。そして、生活用品や食品の買い占めも問題になっており、トイレットペーパーや除菌ジェルなどはどこも売り切れ。人々のモラルと思いやりが今、問われています。小学校・中学校・高校も閉鎖、ハワイ大学は春学期の残りの授業はオンラインへ移行することが決まりました。子どもたちとその家族、学生たちは初めて直面するこの事態をどう乗り切るか試されています。
そんなわけで、一応学生である私も、しばらく学校には行けない日々が続きそうです。授業はオンラインということで、テレビ会議のようなシステムで授業を受けたり、あるいは先生が撮影した講義のビデオを見たり、ウェブ上で課題を提出したり、テストを受けたりするようです。先生方にとっても、学生にとっても初めての試みばかり。不安も尽きません。それ以外は家にこもってゲームをしたり、本を読んだり、ゴロゴロしたり。コロナには感染せずとも、他の意味で不健康になりそうな気もします。
現代で好まれる映画や舞台にはあまり登場しませんが、古代ギリシアの文学や演劇には、デウス・エクス・マキナという神がよく登場します。しっちゃかめっちゃかになった状況を一瞬で鎮める力を持った神のことを指し、物語を終焉に導く神のことです。ゾンビパニック映画ではお目にかかることはあまりありませんが、事実は小説よりも奇なり。この状況を収めてくれるデウス・エクス・マキナの登場を片隅で祈りつつ、皆様のご健康を心よりお祈りして、今日はおしまいにしたいと思います。
CAN OF ALOHA No.26
金平 薫 (Kaoru Kanehira)
香川県出身、現在はハワイ某所にて武者修行中。 日々のあれこれを、ゆるりとお伝えできたら幸いです。美味しいものには目がありません。 なんでもない毎日は Instagram:kaoru_channel をご覧ください。