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コラム 神楽坂発 お身体へのお便り

【神楽坂発 お身体へのお便り】運動前のカフェインと脂肪燃焼の関係

 弥生は3月の別名として有名ですが、他にも雛月(ひいな月)や花見月などが知られています。雛月は、女の子の健やかな成長を祈るひな祭り(桃の節句)に由来しています。古くは身の穢れを紙や藁などで作った人型に移して川に流してお祓いをする行事、雛流しとしても知られていました。ヒトの穢れを一身背負い流れていく人形にそこはかとない哀れを感じずにはいられません。

 心の穢れを落とすことはヒトの在り方として大切ですが、身体の余分な脂肪を落とすことは健康にとって重要です。グラダナ大学(スペイン)研究がそのサポートになるかもしれません。従来の研究によって、運動した時の脂肪の燃焼は午前よりも午後の方が活発に起こることや、持久力を必要とする有酸素運動の能力は朝と夕方には低く、午後が最も高くなることは知られていました。

 グラダナ大学の研究ではカフェインの摂取と運動中の脂肪燃焼および有酸素運動の関係を調べています。当該研究では15名(少々少ないのが残念です)の健康な平均年齢32歳の男性でBMI18.528、日常的なカフェイン摂取量は一日50mg未満そして全員が週3回以上の持久力トレーニングを最低2年間継続した方を対象としています。

 実験では1週間おきに自転車エルゴメーターを利用した運動を行い、運動開始前にはカフェイン飲料かプラセボ飲料を利用しました。測定は脂肪燃焼の状態を示す最大脂肪酸化率(MFO)と体内に取り込むことができる酸素量の1分間あたりの最大値を示す最大酸素量(VO2max)で測定しています。その結果、プラセボ摂取群に対して、カフェイン摂取群では午前・午後ともにこれらの測定値が高くなることが明らかになりました。因みに運動前のカフェイン摂取は運動を午前・午後するというタイミングに関わらず脂肪燃焼と持久力を上昇させることが分かりました。

 また、カフェイン摂取後30分に運動を開始すると脂肪の燃焼が最大値となることも分かりました。一回のカフェイン量は急性カフェイン中毒のリスクが無い200mgとしています。脂肪の燃焼だけでなくダイエットを目指すとおやつはスルーするという方も多いと思いますが、午前中であればピーナッツなどナッツ類(アレルギーに注意が必要です)、ヨーグルト、寒天などの間食であれば脂肪になりにくいそうです。午後にはチーズや小魚などいかがでしょう。また、脂肪の取り込みが低くなる14時~16時までの間に間食をするのは望ましいようです。

 食に限らなければ、脂肪の燃焼を促進してくれる褐色脂肪細胞は大人になってもまだ働いてくれますので、意識的に褐色脂肪細胞が集中する肩甲骨や首回りのストレッチをするのもお薦めです。私は経験ありませんが、冷えたペットボトルで首回りを冷やすのも良いとのことです。無理なく脂肪を燃焼させてこの春には無駄のないスタイルを手に入れましょう。

神楽坂発 お身体へのお便り No.115

安田祥子   Akiko Yasuda

株式会社jast代表取締役会長 

統括メディカルアドバイザー、フリーライセンスドクター、「農林水産省 産学共同プロジェクト」メンバー

最愛の娘の突然の死をきっかけに、健康は当たり前のものではなく、自らの手で守り育むものと痛感し、分子生物学や医学などを学ぶ。2013年(株) jastを設立し家庭と医療機関を結ぶ架け橋としてのアドバイザー育成に取り組む。これまで200件以上のクライアント様の健康・医療・日常生活のご相談に応えるとともに、教育部門JAMAで主席講師を務め分子生物学の観点から細胞に働きかける栄養素や最新の遺伝子研究など多岐に渡る講義を行う。数多くの機関誌への執、講演会、セミナーなども行っている。

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