２月は和名では如月、厳しい寒さに耐えるために衣を重ねる“衣更着”とも書くようです。日本では元日から能登半島で大きな地震が起こり、亡くなった方も二百数十人に上りました。また、被災した方々の多くは未だに自宅に戻ることも叶いません。明日何が起こるかは神ならぬ身には予想だにつきませんが、できれば穏やかな日々に小さな幸せを積み重ねてまいりたいものと思っております。

　暮れからお正月は家族や友人と集う機会が増え、つい食べ過ぎて太ってしまったとお嘆きの方もおられるかもしれません。肥満は健康に悪いと一般的に言われていますが、実は肥満でも“良い肥満”と考えられる方々が約2割程度おられることを伊藤祐慶応大学医学部教授が伝えてくださいました。

　2019年に欧米12万人の肥満者を対象とした研究の報告では“肥満であっても糖尿病や高血圧など生活習慣病に罹るリスクが低い方が24％”とされています。但し研究内容が欧米人に限られていますので、そのまま日本人に当てはめるのが正解か否かは私には判断しきれないことを付け加えておきます。

　年齢を重ねると体重の増加や血圧、血糖値、中性脂肪、LDLコレステロールなど生活習慣病のリスク要因となる値が上昇する傾向にあるようですが“良い肥満”グループではそうした値が正常値に留まっているそうです。このように肥満にも拘わらず生活習慣病に罹患するリスクの低い状態を「代謝的に健康な肥満」と呼び、男性より女性、高齢者より若い方、そしてBMIが35未満の方に多いとのことです。

　良い肥満と悪い肥満の見分け方として分かりやすいのは全身がぽっちゃりしている皮下脂肪型（一部の方では良い肥満）か、お腹だけが突き出しているような内臓脂肪型（悪い肥満）かです。腹囲を測定して男性なら85㎝以上、女性であれば90㎝以上の場合には内臓肥満型と考えられます。皮下脂肪のキャパシティは民族差があり、欧米人では皮下脂肪がつきやすいのですが、日本人（東アジア人）の場合には内臓脂肪がつきやすいそうです。内臓脂肪は少々溜まっても自覚症状はありませんが生活習慣病に罹患しやすく、糖尿病や動脈硬化などいわゆる死に至るドミノ倒しの出発点となります。特に糖尿病の方の場合、注意が必要です。血液検査でヘモグロビンA1cが７％を超えた方のグループでの認知症発症率が7%以下の方に比べて4.8倍も高くなるそうで、5年間で実に半数にあたる49.1％の方が認知症を発症したと報告されています。但し、良い肥満の場合無理にダイエットをする必要はありませんので、血液検査などで心配なければむしろ現状維持を心がけても良いかもしれませんね。（高齢でふっくらしておられる方に健康な方が多いことも付け加えておきます）

　良い肥満・悪い肥満があるように全ての現象には表も裏もありますので、今年もなるべく正確な情報をお伝えしたいと存じます。