日刊サンWEB|ニュース・求人・不動産・美容・健康・教育まで、ハワイで役立つ最新情報がいつでも読めます

ハワイに住む人の情報源といえば日刊サン。ハワイで暮らす方に役立つ情報が満載の情報サイト。ニュース、求人・仕事探し、住まい、子どもの教育、毎日の行事・イベント、美容・健康、車、終活のことまで幅広く網羅しています。

デジタル版・新聞

川戸恵子のニュースコラム

今年は解散総選挙アリ?

 暮れの12月20日、予算案が閣議決定されて、永田町はあっという間に空っぽになってしまった。衆議院議員の任期は来年10月まで。ということは今年か来年には必ず総選挙があるわけで、何人かの自民党議員に聞いて見たら異口同音に「そろそろあってもいい頃ですよ!だからいつにも増して細かく回っています!」。地元に帰って一日に10箇所以上回るそうで、あちこちの企業の忘年会(最近は減少傾向とか)や、新年会でのご挨拶、また国政調査会で講演をする、というのが年末年始の活動だそうだ。ついでに、有権者の関心は今何にあるのか聞いたら「桜問題なんかは当たり前に批判的ですけど、やはり今後の景気がどうなるか、というのが一番多いですね」。そういえば二階幹事長から5回生以下の議員に、自由新報(自民党の機関誌)の個人版を作れと指示が出たとも聞く。

 

 一方野党はというと、12月に始まった立憲民主党と国民民主党の野党合流話がだらだらと年を越してしまった。

 

 そもそも新党の結成は年末年始に集中している。その背景のひとつは政党交付金制度、お金の問題だ。小選挙区制導入時にクリ-ンな政治をということで、企業や団体などからの献金を制限する代わりに税金で活動を支えようというもの。問題は各党への配分金額の決定が1月1日現在の議員数が元になっており、その届け出が1月15日まで、となっていること。だからなんとか年末年始のうちに決着して、政党交付金をもらいたい、というわけだ。

 

 安倍一強に対抗する大きな塊を、というのは誰もが思っているが、現実はなかなか難しい。国民民主党は『新党』で、と言う一方、立憲民主党は支持率の高い我々のところに『吸収合併』だ、と言う。去年の参院選での各地でのしこりもある。また、比例当選者の場合は戦った相手の他党へ移ると議席を失うので、支持率が高いからと言ってそちらに移るわけにはいかないのだ。そんなわけで、国会では野党共同会派に属していても、いまだに身分上は無所属のままの議員も多数いる。だから次の総選挙で自分が勝ち上がってくるためには合併するしかないという若手が多い。

 

 ただ、国民は支持率こそ立憲より低いものの、民主党時代の交付金残高や組織をそっくり受け継ぎ、ゆとりがある。もちろん両党の主義主張のへだたりも大きい。その中で合併が成功するのかどうか、この原稿が載る頃には決着がついているかもしれないが、当分目が離せない。

 

 一方安倍首相は9連休を都内のホテル等で過ごし、ゴルフにも4回出かけ、ご満悦!桜を見る会に関して次々と新事実が出てきたり、暮れにはIR・カジノ問題に絡んだ収賄容疑で自民党の秋元司議員(のち離党)が逮捕されたりしていたが、どこ吹く風!

 

 1月6日、恒例の伊勢神宮参拝でスタ-ト。1月7日は自民党仕事始め。去年に比べて若い議員を含めて出席者が多く、安倍首相が「ボクの若い頃は、間違っても仕事始めには出るな、その時間があったら地元を回れ、と言われたものだ」と言ったそうだ。しかし安倍首相とのツ-ショットを希望する人が多く、SNSにこれをアップしての選挙運動をする時代になったのかな、とも思った次第。

 

 この日のあちこちでの挨拶で安倍首相はことわざの「桃栗3年、柿8年」をひいて、「まだその先があって、『ゆずは9年の花盛り』。ですから任期1杯は責任をもってやります」と述べ、さらに「まだまだ先があって『梅は13年、梨は15年、リンゴは25年』ここにいる小泉進次郎さんはじめ皆さんが中心になって実りを得てほしい」とポスト安倍に期待を寄せ、くすぶっている4選問題を否定して見せた。

 

 同時に「今年の干支(えと)は庚子(かのえね)。1600年の庚子には関ヶ原の戦いがありました」また「やるべき時には戦わねばいけません!」とも言及して、やはり今年中の解散総選挙があり得るのではという憶測を呼んでいる。

 

 ともあれ、年始早々の米国・イランの攻撃合戦で世界情勢は緊迫、経済に与える影響も大きい。日本でも五輪後の経済の行方、桜問題などに見られる「安倍疲れ」、IR問題等々もあるし、一方ではトランプ再選かどうかも安倍政権の行方を占う大きなファクタ-になってくるだろう。解散総選挙の有無、ポスト安倍は誰か、目の離せない1年になりそうだ。

 

 


川戸恵子 (かわどけいこ)

TBSテレビ・シニア・コメンテ-タ-。TBS入社後、ニュ-スキャスタ-を経て、政治部担当部長・解説委員さらに選挙担当として長年政界を取材。そのほか、これまでに自衛隊倫理審査会長、内閣府消費者委員会委員などを歴任。現在、TBSNEWSで週一回の政治家との対談番組を制作。また日本記者クラブ企画委員・選挙学会理事。


 

 

(日刊サン 2020.1.25)

返信する

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

Social media & sharing icons powered by UltimatelySocial
Twitter
Visit Us
Instagram