❤40代からのプレ更年期をどう過ごすか? がまんせず、Well-Beingのツール活用を
吉川: 40歳前後になると、ちょっと疲れやすくなったな、体力も気力も若い頃とは確実に違うと実感することがあります。 40歳を過ぎると女性ホルモンはジェットコースターのように急降下してくるからです。その激減に体がついていけなくて、心身のバランスを崩すことがあります。これがプレ更年期。
対馬: 40歳を目安に婦人科でエストロゲンの値を測ってみて、低用量ピルや女性ホルモン補充療法をしてみることを検討することをお勧めします。血液検査ですぐにわかります。私も吉川さんも、Well-Beingのツール活用として、HRTホルモン補充療法を選択してきました。そして個人差はありますが、およそ50歳で閉経を迎えます。その前後を含めた10年間に卵巣の働きは急激に鈍くなり、エストロゲンもさらに減って、卵巣の機能は役目を終えます。その過程を更年期、Menopauseと言います。
吉川: 更年期に入ると、働きが鈍くなった卵巣をもっと働かそうとして脳が興奮状態になるため、自律神経が刺激されて、ホットフラッシュや動悸、めまいなど自律神経失調症が現れるんですよね。
対馬: はい、女性ホルモンに守られてきた胃や腸、血管、脳、骨、性器など、さまざまな部位や臓器も弱まってきます。コレステロールや中性脂肪、血圧なども上がりやすくなりますね。人によりますが、外出できないほど辛いとか、寝込むほど具合が悪くなる人もいます。
吉川: めまいがして耳鼻科に行き、イライラして心療内科に行き、高コレステロールや高血圧で薬を処方され……、ドクターショッピングになりがちなのも更年期です。原因は女性ホルモンの急激な不足なのだから、女性ホルモンを補充するのが本来メインの治療法なのですが、それをアドバイスする医師や医療関係者は未だ少ないですよね。
❤低用量ピルやHRTを賢く使ってホルモン補充療法
対馬: 日本では未だに、産婦人科の女性医師ですら、ホルモン補充療法(HRT)に消極的な人は少なくありません。ハワイではいかがですか?更年期の相談で意外に多いのは、性交痛の悩みです。エストロゲンがなくなると膣が乾燥して、セックスをすると痛むのですが、HRTを行うと、膣にうるおいが戻り、夫やパートナーと良好な関係が保てます。またHRTは骨粗鬆症の予防や認知症の予防にも役立つことが分かっています。プレ更年期や閉経直前には低用量ピルを使い、閉経後にHRTに切り替えたり、漢方薬やサプリメントを併用するなど、その人の症状にあった処方をカスタムメイドすることができます。低用量ピルはエストロゲンとプロゲステロンが含まれていて、飲んでいる間は排卵が起こらず、ホルモンによる体調の揺らぎも起きません。日本では避妊以外のメリットはあまり知られていませんが、若い女性のみならずプレ更年期や更年期の不調の緩和にも大いに役立ちますよ。そして50代以降にHRTで補充するホルモン量は、若い人のエストロゲン量の5分の1以下で、低用量ピルよりも少ないです。どちらも医師が処方するので、気になる方はぜひ婦人科を受診してください。
吉川: 最後に先生、私たちは人類史上初の、女性ホルモンが枯渇した状態で30年以上も生きるという、超長寿社会を生き抜いていかなければならないのですが……より良く生きるサバイバーになるための秘訣は?
対馬: 女性と男性ではなりやすい病気が違いますが、日本の健康診断は、男性が発症しやすいメタボ対策がメインで、女性特有の検診は手薄です。だから女性医療がもっと発達しなければならないのです。現状では女性のライフステージごとに、受けておいたほうが良い検診がありますので、それをどうか参考にして、寝たきりにならないよう健康寿命をのばしてください。
対馬ルリ子さん(写真右)日本を代表する女性医療の専門家。産婦人科医、医学博士。銀座や新宿で対馬ルリ子女性ライフクリニックを開業。医療法人社団ウィミンズ・ウェルネス理事長。著書に『女性ホルモンで世界一幸せになれる日本人』、『女も知らない女のカラダ』など多数。吉川千明さん オーガニック美容家。働く女性の保健室「さくら治療院」代表、メノポーズカウンセラー。著書に『これからの美しさの磨き方』、『美しくなれる自然療法』など多数。 |
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