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インタビュー

ハグ・ハワイ設立10周年記念 スペシャルイベント  もっとキレイの女性ホルモン塾

NPOハグ・ハワイが設立10周年を記念して主催したイベント「もっとキレイの女性ホルモン塾」が先月行われた。

Hug Hawaii は、愛する人を亡くした方達を支援するグリーフケア・サポートグループとして「私たちはあなたと共にいます」をスローガンに2008年に設立されました。死別の哀しみや喪失感、心の傷を癒すために、死別を自分の人生に受け入れて、前に向かって進む新たなエネルギーに変えていくための、具体的なサポートをめざしています。

スタッフ:フロイド由起、ロスさつき

日本から来てくれた講師は、女性医療の専門家で医学博士の対馬ルリ子さん、メノポーズカウンセラーの吉川千明さん、美腸アドバイスのスペシャリスト齋藤早苗さんの3人。対馬ルリ子さんは、女性の心と体、社会とのかかわりを総合的に捉え、健康維持を助ける医療(女性外来)をすすめる会「女性医療ネットワーク」を2003年に設立。現在は全国約600名の女性医師、女性医療者と連携して活動し、女性の一生涯にわたる健康のためにさまざまな情報提供、啓蒙活動を行っている。日刊サンでは講演と特別インタビューを混じえ、まずは対馬ルリ子医師と吉川千明さんの「女性ホルモンのパワーと魅力」について紹介。齋藤早苗さんの「美腸アドバイス」は次回特集します。乞うご期待!            (取材・文 奥山夏実)

 

女性医療は、女性がごきげんでエネルギー あふれる存在になるためのツールです

対馬: 私はNPO女性医療ネットワークを設立する前年から“女性ホルモン塾”を開講していました。15年前ですから、120回は開講していますね。オーガニック美容家で更年期障害の専門家、メノポーズカウンセラーでもある吉川千明さんとタッグを組んで、イケイケでやっております(笑)。当時は女性ホルモンのことや閉経のことをオープンに話し合う場や知識をシェアする場がなかったんです。低用量ピルや、エストロゲンを使った、ホルモン補充療法についてもほとんど知られていなかった。更年期障害はガマンしてやり過ごすもの、という消極的な風潮ばかりでした。もちろん、男性の理解も低いから、つらい症状も「気の持ちようだ」くらいにしか理解してもらえなかった。一方で更年期世代の女性は、キャリアのある働き盛りです。子育ては一段落したものの、親の介護など、家族のステージが変化する時期でもあります。社会や家族に期待される役割を果たそうとして、頑張り過ぎているんです。

私は女性は、まずは自分自身の内側をもっと大切にしてほしいと願っています。自身を二の次にせず、セルフイメージを高め、うきうきとした“私”をもう一度育んで欲しいんですね。なぜなら女性がごきげんで明るく輝くエネルギーにあふれる存在なら、社会や家族といった周囲もその恩恵を得ることができるからです。そのためには、女性ホルモンの根源的なパワーと魅力を良く知ることが大切です。現代女性は、進化した女性ホルモンの薬やホルモン類似物質(イソフラボンなど)も上手に使えるようになっています。これは前の世代の女性たちが、私たちにバトンタッチしてくれた宝物です。私自身もホルモン補充療法をしていますし、30歳代の娘が二人いるんですが、彼女らはお肌がカサついてきた時などは、女子力を上げるために低用量ピルを飲んで、ウルウル感、ピチピチ感を取り戻しています。女性たちがより自由に生きられるための医療が、女性医療です。医療というサイエンスを正しく理解することで、女性たちが主体的に利用できるツールにして欲しいと思います。

 

一生で、ティースプーンたった一杯しか出ない女性ホルモン、そのパワーと魅力

吉川: 皆さんは女性ホルモンの、どんな働きをご存知ですか?「生理周期に関連して分泌されていること」や、「肌の美しさや女子力を上げる」イメージでしょうか。女性ホルモンとか男性ホルモンなどの性ホルモンって、人の一生にどう関わっているのか?女の子も男の子も、生まれた時から10歳くらいまでは、生殖器の違い以外はほとんど同じ感じで成長するんですね。ところがもう少し大きくなると、女の子らしい体つき、男の子らしい体つき、そして感情的な情動も変化していきます。そうですよね、先生。

 

対馬: はい、女性ホルモンも男性ホルモンも体格と関係して分泌するので、だいたい身長が145cm、体重が40kgくらいに成長すると、脳の視床下部が判断して、そろそろ出そうかと指令を出します。といっても女性としての準備は、お母さんのお腹の中にいる胎児の時からできあがっていて、胎児の卵巣の中の原始卵胞の数は、最高数の200万個あるといわれています。すごいですね。そして思春期から更年期まで約40年間に分泌される女性ホルモンは、ティースプーンにして一杯分。これが女性が一生分として分泌している女性ホルモンのすべてです。

 

吉川: たかがティースプーン一杯、されどティースプーン一杯。たった一杯の女性ホルモンが果たしてくれる役割は絶大、想像をはるかに超えます。女性だけにしかできない妊娠と、命がけの出産を可能にしているのは女性ホルモンのおかげなんですものね。そのために女性ホルモンは思春期から、抵抗力のある丈夫な体を作ろうとします。だから女性ホルモンがたくさん分泌されるピークの20代、女性は男性に比べて圧倒的に大病が少なく、妊娠中のトラブルが少ないのも女性ホルモンの守りが強固だからです。

 

対馬: そう、女性にとても多い、膠原病やリウマチなどの自己免疫疾患病や骨粗しょう症、動脈硬化、アルツハイマー病も女性ホルモンが発症を抑えているとことも研究で明らかになっています。  また体だけでなく、周囲と調和し、助け合おうとするコミュニケーション能力、平和な世の中で子育てしたいという心持ちや行動も、女性ホルモンの作用です。女性ホルモンは人を幸せにする守り神なんです。

 

女性ホルモンは2つ、アクセル役の エストロゲンと、ブレーキ役のプロゲステロン

吉川: 女性ホルモンは美肌を作り、気持ちを明るくし、病気になりにくくするとお話ししましたが、女子力を上げてくれるのは女性ホルモンの代表格であるエストロゲンという卵胞ホルモンによる作用です。みなさんご存知かもしれませんが、女性ホルモンにはもうひとつ、プロゲステロンという黄体ホルモンがあります。そしてこの2つのホルモンは心身に全く逆の働きをします。エストロゲンがアクセル役のパワーアップホルモンだとすると、プロゲステロンはブレーキ役、パワーダウンのホルモンだと言えます。よく生理前になると、体が重く、体調が落ちると感じたりするじゃないですか。イライラしたり、集中力が落ちるなどメンタル面も下がりますよね。あれは生理周期に合わせて2つのホルモンが順ぐりに増減を繰り返し、排卵後にはプロゲステロンの分泌が増えて、心身にブレーキがかかるからです。

 

対馬: ちなみに男性ホルモンはいつも一定です。だから女性ホルモンの最大の特徴は、2つのホルモンによる心や体の“揺らぎ”だと言えます。皆さんの中には揺らぎなんていらない、アクセル全開で進みたいと思う人がいるかもしれないけれども、全力疾走を続けたら、いずれ体は壊れてしまいます。揺らぎが、無理をさせないようにブレーキをかけてくれている。これも女性ホルモンがし向けてくれた守りの形なのです。だから頑張りすぎないで、内なる自分の揺らぎに合わせて、生活リズムをつかんでください。そうですね、ハワイだと波乗りのイメージでしょうか。エストロゲンのいい波が来たら、大事なことを決めたり、新しいことにチャレンジをするチャンスです。メリハリ、緩急、皆さんもぜひファインウエーブに乗ってください。

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