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主婦ソサエティーオブハワイ 事故から21年 えひめ丸慰霊碑、今年も清掃

21年前、2001210日の昼下がり、ホノルルの沖合21km地点で、愛媛県立宇和島水産高等学校のえひめ丸は生徒38名を乗せ、毎年恒例の漁業実習をしていた。そこに突如、アメリカ海軍の原子力潜水艦グリーンビルが急浮上し、えひめ丸の船底部に激突。わずか10分も経たないうちに、えひめ丸は水深600mの深海に垂直に沈んでいった。

生徒38名、教官2名、乗組員は20名のうち、12人が負傷、9人が行方不明となった。

NPO主婦ソサエティーオブハワイ、現会長の有川啓子さんはこう話す。

「当時のメンバーから聞きますと、えひめ丸事故が起き、宇和島から生徒さんのご家族がハワイに駆けつけて来られた。その時、主婦ソサエティーの有志が寄りそって、送迎やお食事のサポートなどをさせていただきました」

えひめ丸は深海に沈んだため、当初引き上げは困難とされ、船体は海底に放置される予定だった。

しかし行方不明者家族らは、事故発生時から船体の引き上げを強く望んだ。日米間で交渉の末、半年後の8月から遺体の捜索をすることが決定。

「その間も行方不明のご家族の方々はハワイに来られることがありました。その時も滞在のお手伝いをさせていただきました」

日本側の支援のもと、船体を浅瀬に曳航し、アメリカ海軍のダイバーが2001117日までに行方不明者9名の内8人の遺体を収容した。しかし、実習生だった水口峻志君(当時17歳)の遺体は未だ海に残されたままだ。

カカアコ海浜公園に慰霊碑

事故の翌年、カカアコ・ウォーター・フロント・パークにえひめ丸慰霊碑が建立された。海を望む慰霊碑には、亡くなった犠牲者の名前が刻まれている。えひめ丸から引き上げられた錨も添えられている。毎年210日には、ホノルル市長やハワイ州知事、在ホノルル日本国領事館総領事などが出席する追悼式典が行われている。主婦ソサエティーも式典に参加したり、献花をするなどしてきた。

「慰霊碑ができてから毎年9月に、清掃作業も行なうようになりました。黙祷もお捧げしています。21年目の今年は93日にご奉仕。新メンバーとそのお子さんも参加してくれて、事故を風化させないよう、若い世代に語り継ぎ、海の安全を祈りたいと思います」

新メンバーのご夫婦の、ミセスは愛媛県出身だ。

「私が中学生の時、えひめ丸事故が起きました。愛媛では大きく報道され、学校でも話題になり他人事ではない、リアルな体験でした。1年半前に仕事の研究でハワイに赴任し、来てすぐ家族で慰霊碑にお参りしました。去年から主婦ソサエティーに入会し、今回の清掃作業のことを聞いて、子どもたちに話したんです。長男が10歳で、5歳、3歳の3人息子です。長男にはえひめ丸の事故のことは話し聞かせていたので、お掃除のお手伝いに行く! と言ってくれました」

今回は13人が参加。大きなバケツに水を汲み、ブラシやタオルで慰霊碑をきれいにクリーンナップ。黙祷を捧げ、犠牲者とその家族の平安と海の安全を祈りあった。     (取材・文 奧山夏実)

NPO主婦ソサエティーオブハワイ

ハワイに日本文化を紹介し、その交流を通じて相互理解を深め、多彩な文化の催しと地域社会への貢献活動を行う。設立56周年。会員の愛好会も多彩で、国籍・性別・年齢・主婦の有無を問わず参加できる。

【年会費】$30

【問合せ】P.O.BOX23119,
     HONOLULU, HI 96823-3119

(日刊サン 2022.9.7)

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