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長崎原爆被害者へ、慰霊のフラ奉納

長崎原爆被害者へ、慰霊のフラ奉納

8月9日に妙法寺で行われた「〜長崎原爆犠牲者慰霊平和祈念式典〜」は、政府関係者やゆかりの方々などオンラインで多くの方が参加された。

山村尚正住職はじめ、妙法寺からはごく限られた関係者だけでメッセージを送ったが、その中にホノルルのハラウ(フラの学校)、“Kūhai Halau Kalikolauʻōlenaokalani ʻōlapa kahiko”も含まれていた。平和と慰霊を祈念するカヒコフラが捧げられたのだ。

光明を表す黄色の衣装で、臨月の妊婦さんも踊った

ハラウを主宰するKalikolauʻōlenaokalaniに話しを伺った。ハラウの名前が長いですねと、問いかけると、カリコラウさんは満面の笑み。ちなみにカリコラウオレナオカラニというクムの名は、“天国に芽吹いたオレナ(ターメリック)の新芽” という意味なんだそう。

「長崎の原爆犠牲者の式典には、今年で3回目のフラ奉納をさせていただきました。神聖な場で、ハワイの伝統的なフラを捧げることができて光栄です。今回、踊った者の中には臨月の妊婦さんもいて、原爆の犠牲の記憶と、平和への強い祈りを、新しい世代に引き継いでいくこともできたかと思っております」

動画、写真の向かって右端が妊婦さん。“レイを輪にすると、赤ちゃんにヘソの緒がからむ”というハワイの古い言い伝えがあるので、妊婦さんはティーリーフのレイを輪にせずにかけている。

ポジティブなエネルギーの中だけで踊るというフラは、長崎の原爆被害者の方々、その家族、そして新しい命へもエールを送る。

「ハラウの名前は私の師匠である、レフア・カバイカプオカラニ・ヒューウットが付けてくださいました」

レフア・カバイカプオカラニ・ヒューウット氏は、世界的なフラの指導者であり、数々の名曲を生み出してきた作詞作曲家だ。カリコラウさんは30年前に日本からカリフォルニアに移住して、その後フラに専心。ヒューウット氏の直弟子としてクムの称号を与えられた。7年前からハワイでクムフラとして活躍している。

さて、妙法寺という、お寺でフラを奉納するというのは珍しいのでは?

「はい、妙法寺の山村尚正住職は、ハワイの文化をとても尊重しておられます。150年以上前、日本からハワイに移民してきた方々が、ハワイにお寺や神社を建てて信仰のよりどころとしてきた。それをローカルのハワイアンは温かく受け入れてくれた。異なった宗教観もリスペクトしてくださった。ハワイならではの異文化の融合ですね。だから私たちも奉納のフラを踊らせていただいています」

曲は、kamaliʻi o ka pō。

「意味は直訳すると“闇、無明の子ども”です。ハワイ語は深く、表裏の意味があったりするので日本語にするのが難しいのですが、“すべての命は闇から始まっている、闇があるから光が生きる。人間は光の存在として、生命を輝かせたい”そんな理解をしながら、私たちは踊っています」

衣装は全て手作り。ケープの黄色は“光”を表し、黒は“闇”を表しているのだそう。

「妙法寺の境内には、ハワイの固有種のオヒアレフアの木が植樹されています。激減している植物なので私たちもお手伝いをして植えて、その時もフラを奉納しました。ご縁の深い妙法寺で、長崎で被曝された犠牲者とそのご家族に哀悼のフラを捧げることができて、踊り手一同感謝しています」

(取材・文 奧山夏実)

 

ハラウに関する問い合わせは、 [email protected]

(日刊サン 2021.08.13)

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