高齢者でもできるゴミ減らし 自分たちでできることはなにかを考えてみる
ひとりひとりが意識してゴミを作らない、未来を思う事で、地球上のゴミは減らすことができる。美しいハワイの海岸線から世界をインスパイアしようとビーチクリーンアップなどを行うNPOサスティナブル・コースト・ラインズ・ハワイ日本語担当、来迎秀紀(キムカイ・ヒデキ)さんに話しを伺った。
不幸にもコロナ禍になってから、ハワイの海岸線でも使い捨てマスクや手袋が捨てられているのをよく見かけるようになりました。でもこれは、感染を避けるために触ったり回収することがとても困難です。
ぼくらがいつも言うのは『綺麗なビーチは家から始まる』ということです。どういうことか説明しましょう。ビーチに漂着するゴミは、ほとんどがプラスチック・ゴミ。そう聞いてどんなものをイメージしますか? 回収するゴミの種類はオアフ島内でも場所によって異なります。たとえば西地区では不法投棄が多い。ワイキキではビーチを訪れた人からの、たばこの吸い殻や飲食容器が目立ちますが、東海岸は海からの漂着物が多く、遠方から時間をかけ流れ着くものです。
現在、ハワイではリサイクル不可能なプラスチック製バッグを顧客に提供することは禁止(一部の法的特例を除く)されているにもかかわらず、野外に落ちているゴミ袋をよく目にする。そのほか目につくのがテイクアウト用容器、ストロー、ドリンク容器、パッケージ、ペットボトルのフタ。われわれが目にするゴミのほとんどが、プラスティック製だ。
東海岸のビーチクリーンで拾うゴミの多くは、飲食用容器やぺットボトルといった原形をとどめているものは少なく、『マイクロプラスチック』と呼ばれる、細かくなったプラスチックゴミの方が多い。それらは、世界中から海に流出、または海から投棄・放棄され、長い時間をかけて劣化し、海洋を漂い海を渡りハワイに漂着、回収するが不可能にちかい厄介ものなのです。
ハワイの海には世界からゴミが漂着する
私たちサスティナブル・コーストラインズ・ハワイはビーチクリーン(海岸清掃)を通しての実習、教材・ビデオなどを見ながらの講習、オンライン学習するなど、さまざまな方法でゴミを減らす教育をしています。
ハワイのビーチに打ちあがるゴミは、ハワイの家庭から出たものだけではありません。太平洋を渡ってくるアジアからのものに加え、アメリカ西海岸、遠くはロシアやエクアドルからの物も漂着します。漁船から出る網、浮き、ブイなどの漁業関連も多いです。なぜなら漁具は日光や潮に強く、しかも浮くように作られている。ハワイの近くで使われていたもの、太平洋を渡って漂着したものなどさまざまです。ですが、これより、とてつもなく多いのがビーチや磯、潮だまりのようなところに流れ着いた細かなプラスチックの破片、『マイクロプラスティック』です。これは太陽の日差しや海の環境要素によって劣化して細かくなった原形をとどめないプラスチックのことを指します。すべて人間が使った石油や天然ガス由来のプラスチックで、ひとつひとつが細かくなっても短時間で自然に還らず、長い間、海を漂流しビーチなどにたどり着くわけです。われわれの目に見えているのは海にあるゴミ全体の10%足らず。それ以外の90%は、海底、海の中もしくは海上を漂っているのです。写真のように、浜にはこれだけたくさんのゴミに見えますが、見えているのはほんとうに氷山の一角。とにかく、海洋汚染を止め、回収する必要があります。
ハワイのリサイクルは船で島外へ運ばれるか燃やされている
残念ですがRecycleはここハワイでは成立していません。リサイクルできるタイプの廃プラは実際にはアメリカ本土や東南アジアに送られていき、結局は設備の整っていない場所に移され、すがたかたちを変え、私たちに汚染源として還って来ています。
ハワイにはゴミを燃やしてエネルギーに変えるという『サーマルリサイクル』と呼ぶものがありますが、これでは二酸化炭素が排出される上、燃やしたゴミは、また埋め立て処理が必要になるわけで、残念ながらわれわれは真のリサイクルだとは考えてはいないです。オアフ島にある埋立地も2030年にはいっぱいになり、恵みを与えるはずの大地がまたゴミの埋立地として削られ、先祖代々守られて来た大地がゴミ捨て場とならなければいけません。
私たちの消費経済は資源を使い捨てする直下型モデル。循環型モデルに変えていかないと、気候変動など近年の自然現象を見ていると限界に近付いていると感じることがあります。
海岸に漂着した廃プラスチックは、日光に晒され熱くなった海岸砂で劣化が進行し、波や風の摩擦など物理的刺激が加わって微細片化していく
地球をきれいにするため、ゴミを減らすために、毎日の生活の中でわたしたちができることがあります。それがごみの分別です。コンポスト、一般ごみとリサイクル可能なプラスチックゴミを日々分けて捨てるようにしてください。また、こんな方法も有効です。レストランに食事に行ったとき、家からお弁当容器を持参する。そこに食べ残したものを入れて持ち帰るようにしてください。この方法ならプラスチック容器をひとつ、もらわないで済む。地道な努力ですが、ひとりひとりがこのような心掛けを始めることで、ハワイから、地球上からゴミを減らすことができます。「Reduce. Reuse. Recycle」削減・再利用・リサイクルという言葉があります。なぜReduce(削減)が最初に来るかというと、ゴミを出さないことがいちばん大切だからです。次にReuse(再利用)すること。Recycleは大事ですが、ほとんどがちゃんとした設備の無い場所で不適切に処理され自然界にゴミとしまた流れ出てくる羽目に。とにかくゴミを出さない、有限な資源を消費しない努力をすることなのです。
選んで使い捨てを買わない、選べる力が、 ゴミを出さないことにつながります
ゴミは、分別する。コンドミニアムではなく戸建てに住んでいらっしゃる方は、生ごみをコンポストにするなども考えてみてください。缶や瓶はリサイクルに回す。あとは、選ぶこと。買うときにパッケージに入っているものを買わないようにする。昔の商店では、肉や魚は紙に包んでくれましたよね。そのような買い方が、いまでも選べばできますので、そのような意識をもって買い物に行ってみてください。各家庭で気をつけるだけで、少しずつ変わりますから。ひとりひとりが意識を変えること、小さなアクションでも積み重なれば、大きな力になります。
先進国の経済活動休息で、自然が治癒しようとしている
そんないま、われわれができることを考えよう
この新型コロナによって経済活動が休息しただけで大気汚染が削減されている。そして、ハナウマ湾をはじめとして水質が改善され、ハワイの海も澄んでいるという報告がある。温暖化を止めよう! CO2を減らそう! 環境を守ろう!と各国が何兆円もかけてさまざまな仕組みを変えようとしてきていますが、ほんの数カ月、先進国が活動を自粛し、公害を出すのをやめただけで、自然をここまで取り返すことができているのです。LAに虹が出て大騒ぎになり、中国やインドも大気汚染が減って青空が戻ったなど。われわれがやればできることが証明されています。希望があります。元に戻るまでには何百年何千年かかる事もありますが、1日でも早く改善して行かないと。ぜひ一度、わたしたちの活動をご覧ください。子どもや孫たちの未来のために。一歩ずつ駆け足で。
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(日刊サン 2020.8.21)
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