2月1日あるいは2日には春の兆しを祝うケルトの伝統的なお祭りインボルグ祭がアイルランドやスコットランドで行われるそうです。インボルグの日は太陽と健康そして鍛冶を司る女神聖ブリギットの聖日です。聖ブリギットは暗い冬の日々から光溢れる春へと導く神として古くからケルトの人々に敬われてきました。現在日本ではいったん収束したかに見えた新型コロナは変異した新たなオミクロン株によって感染者数が日々更新されていく状況の中、春の兆しを多くの方が待ち望んでおられるようです。
そこで、未来に目を向けて今年は抗加齢(抗老化)に焦点を絞ってお伝えしたいと思います。“まだ若いから抗加齢など必要ない”と思われる方もちょっと目を通していただけると、加齢対策は早めのほうが効果的と気づいていただけるかもしれません。なんといっても加齢は平等に訪れますが、老化はすでに20歳後半から始まるのです。老化は身体のどこから始まるのでしょうか? 研究者は専門分野の老化を強調なさいますが、私たちが自分で感じやすく、対処しやすい場所からお話を始めましょう。分かりやすいのは皮膚や髪の毛、それに次いで筋肉の低下です。
「片足立ち」を1分間できますか? 実は研究によって片足立ちを1分間維持できるか否かは全身の機能に関わっていることが報告されています。片足立ちの時間が短い場合、サルコペニア(加齢による筋肉量の減少とそれに伴う身体機能の低下)のリスクが高くなり、片足立ちが40秒未満の場合には脳が萎縮(20代から萎縮は始まります)傾向にあるとのことです。片足立ちが20秒未満の場合には明らかに認知機能の低下がみられ、認知症の一歩手前である軽度認知症が(MCI)の割合が研究では高かったと報告されています。また、骨密度も低下していることが明らかで、骨密度の低下は姿勢の老化を招きますので、“老け見え”に繋がりそうですね。
では片足立ちが1分間できるようする方法はあるのでしょうか? さあ、抗加齢に挑戦しましょう。簡単にできる方法があります。片足立ちを1日3回、1分間続けることで様々な機能の回復が見込めるのです。片足立ち1分は50分歩くのと同等の負荷が太ももの付け根の骨にかかるので下半身の筋肉を鍛えることができます。よく筋トレをしているので筋肉量は大丈夫とおっしゃる方がおられますが、年齢を重ねると筋肉量の多寡と筋力の維持には相関関係がなくなります(もちろん筋肉量が多いのは歓迎できますが)。
サルコペニアが気になる方は40㎝程度の椅子から反動をつけずに立ち上がり、その後3秒間片足立ちができれば問題ないそうですので、併せて覚えておいていただけると何かの場合目安となるでしょう。継続は力なり、ですので今日から片足立ち1分を3回、毎日続けて、身体全体を支えるバランス力によって、未来も同じような立ち居振る舞いができるようにいたしましょう。
神楽坂発 お身体へのお便り No.102
安田祥子 Akiko Yasuda
株式会社jast代表取締役会長
統括メディカルアドバイザー、フリーライセンスドクター、「農林水産省 産学共同プロジェクト」メンバー
最愛の娘の突然の死をきっかけに、健康は当たり前のものではなく、自らの手で守り育むものと痛感し、分子生物学や医学などを学ぶ。2013年(株) jastを設立し家庭と医療機関を結ぶ架け橋としてのアドバイザー育成に取り組む。これまで200件以上のクライアント様の健康・医療・日常生活のご相談に応えるとともに、教育部門JAMAで主席講師を務め分子生物学の観点から細胞に働きかける栄養素や最新の遺伝子研究など多岐に渡る講義を行う。数多くの機関誌への執、講演会、セミナーなども行っている。
シェアする