ウイスコンシンで独り言 ボランティア(2)
自分達の住んでいる町の非営利団体のお店で本をあつかうボランティアをしています。寄付された本を倉庫から持ってきて、お店の書棚に並べたり、売れない本の抜き取りをする仕事です。
時折、来客から本と関係のない工具とか家具なんかの場所を尋ねられることがあり、自分の勉強にもなると思って、お客と一緒に店内を探すこともあります。そんな時、昔の自分なら、「私はボランティアです」とか「私は本の係でほかのことは知りません」などと答えたであろうと思われるのに、今の自分は来客の満足のために自然と体が動くことに自分が自分に驚いています。もっと若い頃からこんな態度だったら良かったと思うこともあります。
この店で驚いたこと
こうした自分の態度も驚きですが、この店では一か月ほどでどんどん売れなかった本を抜き取ることに驚きました。それで最近の自分の仕事はただひたすら、5週間前に並べた本を回収して、それらの本をコンテナに収めることで、その本は他の団体に寄付されます。
来客の中には毎週のように来る人もいますが、時々来る人もいます。そんな人達はこうして店頭に並べられても、すぐ回収されてしまうことは知らないでしょう。自分も以前この店に来てたまたま欲しい本を見つけても、「また今度」などと考えていましたが、こんなに早く回収されているとは全く知りませんでした。
欲しいと思ったら、すぐ買う
そんな訳で、この店の品物はほとんど1ドルか2ドルくらいなので、欲しい時には迷わずその場で購入すべきですね。でも、家にいっぱい読む本を抱えていたりすると、欲しい本でも躊躇することがありますが、この店ではどんどん回収してしまいます。それで抜き取りの日には棚が空っぽになってしまうことがしばしばです。そしてその後、全く同じか同類の本をまた棚に並べていますが、何とも時間、労力の無駄とも思えます。ただ、そういった指示を出す人は、現場を見てなかったり、抜き取りとか倉庫での本の分類にどれほど時間がかかるか知らずにいる場合があります。昔ホノルルの古書店なんかで、欲しい本でもすぐ買わないことがありました。何か月かして行っても、その本が売られずにあることがよくありましたが、今働いているこの店ではそうは行きません。「欲しければ、その場で買う」です。
こんなの絶対売れないよ…
店に並べる物の中には何度も回収した物もあり、最近ではCDとかDVDはあまり売れません。ましてやカセットとかVHSテープなどは置くだけ無駄の様な気がします。中には最近お亡くなりなった方の蔵書なのか、たくさんの文学全集とか百科事典など展示することもあります。こんな重くてかさばる、時代遅れの物を誰か買うのかな?って思って、店に並べますが、たまに売れてることがあります。そんな時、世の中って、ほんとにわからないものだなぁって思ってます。
とどけMahalo! アメリカ本土便り No.112
大井貞二(おおいさだじ)
1988年にハワイに移住。地元の私立校で日本語を教える。その後、ハワイ大学大学院を経て、ハワイパシフック大学(HPU)にて世界中からやってくる学生に日本語を教え、最近退職。現在アメリカ本土に居住。
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