海外から米入国に新しい措置 ハワイはどうなる?
バイデン政権が早ければ11月ごろに新しい海外旅行規制を施行すると述べたが、海外からハワイへの観光客が元に戻るにはしばらく時間がかかりそうだとホノルル・スター・アドバタイザーが伝えている。
新型コロナウィルス感染が拡大して以降、海外からハワイへの観光客数は97%も落ち込み、過去18カ月間そのままの状態が続いている。
ハワイ観光局日本事務局のエリック・タカハタ氏によると、ハワイにやってくる海外からの旅行者でトップを占める日本市場が激減したことで、航空会社や旅行会社では毎月2億ドルの損失を被っているという。
加えて、海外からの旅行客たちの飲食、ショッピングやアクティビティがなくなったことで打撃を受けている業界も多い。
パンデミック前には海外からの旅行者が多く見られたワイキキでも、今ではデューティーフリーショップ・ギャラリアは閉ざされ、ワイキキ横丁にも立ち入り禁止の黄色いテープが貼られている。
バイデン政権は新しい海外旅行規制として、全ての外国籍の成人がアメリカへ入国する場合には、飛行機搭乗前にワクチン接種を完了していなければならないとしている。
新しい規制では、アメリカ市民と永住権保持者についてはワクチン接種を完了していなくてもアメリカへ入国することはできるが、その場合にはより厳しい検査と接触者追跡が求められ、飛行機搭乗の24時間前にコロナ検査を受け、帰国後すぐに再検査を受けなければならない。
外国籍の旅行者に対して、現時点では飛行機搭乗前72時間以内に検査を受けて陰性証明を提示することだけが求められているが、ワクチン接種を必須とすることを追加するというこの措置が始まると、ワクチン接種証明と陰性証明の両方が必要となってくる。
これによって、アメリカ入国14日以内に英国、欧州連合各国、中国、インド、イラン、アイルランド、ブラジル、南アフリカに滞在した外国籍の旅行者の入国を禁止するというような現在行っている国別の規制をやめ、ワクチン接種証明と陰性証明の両方を求めるという一本化の措置へ移行することになる。
この新しい規制措置の内容(施行開始日は未定)が9月20日に発表されてから、ルフトハンザ航空、バージン・アトランティック航空、ブリティッシュ航空では
ヨーロッパ各国からアメリカへの航空便に対する予約が激増したと言われている。
一方、ハワイではそのような傾向はまだ見られない。
日本、韓国、台湾、カナダ、タヒチ、フィリピンからの旅行者に対しては、指定医療機関におけるPCR検査の陰性証明と「セーフ・トラベル・ハワイ」プログラムの利用により入国をすでに受け入れているからだ。
ヨーロッパなどでは今回の規制措置は「緩和」と見なされてメディアでも取り上げられているが、日本では「規制強化」と受け止められている。
アウトリガー・ホスピタリティーの副社長であるダニー・オジリ氏は「ハワイに旅行にやってくる観光客の国々ではワクチン接種は進んでいるので、今回の新しい措置による大きな影響はないでしょう」という。
日本ではワクチン接種の開始は遅かったものの、現時点では55%がワクチン接種を完了しており、67%が少なくとも1度は接種を受けていると伝えられている。
新しい措置が施行される11月ごろには少なくとも75%に達しているだろうと見られている。
今回の新しい措置に関して米国疫病予防管理センター(CDC)では、アメリカで使用されているファイザー社、モデルナ社、ジョンソン&ジョンソン社の他にも、世界保健機構(WHO)が承認しているアストラゼネカ社、中国のシノバック社なども認めるとしている。
一方、日本政府は海外からの帰国者に対して14日間の自己隔離を現在求めているが、10日に短縮することを検討していると言われている。
タカハタ氏は「4日間の短縮では観光客の大きな増加は見られないでしょう。しかし新しい首相への政権交代もあり、何らかの変更が期待されます。日本からハワイへの旅行者の増加はおそらく年末に見られるだろうと予想しています」という。
日本外務省が発表している国別の感染症危険レベルで、現在アメリカはレベル3(渡航中止勧告「渡航はやめてください」)となっている。
大手旅行会社であるJTBやH.I.S. では、このレベルが下がるまで大きな変化はなく、2022年第1四半期ごろまで本格的な回復は見られないとしている。
写真: Shutterstock.com
(日刊サン 2021.09.27)
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