レストラン業界 従業員不足の危機
ホノルルでは来週の月曜から新しい規制が始まることになっている。
セイフ・アクセス・プログラムはレストランやスポーツジムなどの屋内施設に入店する際にワクチン接種カードか陰性証明の提示を求めるものだが、従業員にも同じことが求められる。
13日から60日間、レストランなどの従業員は少なくとも1回のワクチン接種を受けているか、陰性証明を毎週提出しなければならない。
ハワイ・レストラン協会が120軒のレストランに対して行った非公式の調査によると、60%のレストラン経営者はおよそ25%の従業員がワクチン接種を受けたくない、あるいは、毎週の検査を受けたくないという理由で仕事を辞めるだろうと考えているという。
しかし気をつけなければならないのは、これらの理由で退職する場合には失業保険を受給することはできないということだ。
ハワイ・レストラン協会の代表であるグレッグ・メイプル氏は「レストラン業界で働く従業員の多くは正確な情報を手に入れていません。情報の多くをソーシャルメディアや友人からの聞き伝えによって得ています。店側が従業員にワクチン接種を要求し、従業員が拒否する場合には失業保険を受け取ることはできません」と述べている。
8月23日に米国疾病予防管理センター(CDC)がファイザー社製ワクチンに対して正式承認を与えたものの、ワクチン接種に反抗的な態度を示す若者が多いという。
オアフ島内で4軒のレストランを経営するリンゼイ・ダイモンド氏はおよそ120人の従業員を抱えているが、その内40人がワクチン接種を受けていない。
その理由を聞くと、「何かをしろと他人に言われたくない。強制することはできないはずだ」というものがほとんどだというが、中にはワクチンには中絶した胎盤からとった幹細胞が含まれているとか、ワクチン接種者を追跡するためのマイクロチップが埋め込まれるというような根拠のない理由を挙げる者もいたという。
ダイモンド氏は13日以降大量の従業員が退職した場合を考え、店内飲食をやめてテイクアウトと配達のみに移行する可能性について検討している。
また、ワクチン接種を受けなくても検査を受けて陰性証明を提出すればいいのだが、毎週検査会場へ並んで陰性証明を受け取ることを60日間継続する従業員はいないのではないかと同氏は思っているという。
メイプル氏によると、レストラン業界は従業員を確保するために給与をあげなければならない状況にあり、また豚肉が30%近く値上がりしているために経営が非常に厳しい状態にある。
イゲ知事がハワイへの渡航自粛を求めたことで観光客が大幅に減少してレストラン客数にも影響を及ぼしている中で、セイフ・アクセス・プログラムによって従業員が退職することはレストラン業界にとって大きな打撃となるだろう。
写真:Shutterstock
(日刊サン 2021.09.07)
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