ウイスコンシンで独り言 ワクチンを接種しない人
ハワイでもワクチン接種がすすみ、この日刊サンの読者の方の中にも接種を終えて、ちょっと安堵の気持ちを持たれている方もいらっしゃると思います。どうやらアメリカ全土でもコロナ
ワクチン接種が順調に進み、変異種で感染者が増加傾向があるものの、すこしづつ快方に向かっているといった感じを持っています。先日のハワイのホノルルスターアドバタイザーでは宿泊予約が急増といった記事がありました。人々の気持ちが少しづつ安堵して旅行気分も出ていることは、嬉しいニュースでもあります。
自分が住むウイスコンシンでは相変わらずマスクをしない人がいます。店によってはわざわざ入り口にマスクを用意してある所もありますが、こうしたことに抵抗感を持っている人がいます。同様に誰でもがワクチン接種をしたいかというと、接種は受けないと公言している人達や団体もあります。
大まかにいうと共和党支持者にそういった人が多く、その理由は「政府が個人的なことに口出しすべきでない」と言った考えのようです。共和党の強い支持基盤の中でも特にキリスト教の福音派と言われる人達に多く、先日8日夜のPBS(公共放送)のニュースによると、2月の全米の調査では全体の30%の人がワクチンの接種をためらっているそうで、白人のキリスト教福音派と言われる人達では45%が、黒人のプロテスタントは33%という数字が報道されていました。
政府が熱心にワクチン接種をすすめて、コロナ感染を抑えようとしても、それに協力しない人達がいれば、またコロナ感染が再発して逆戻りする可能性があります。ワクチン接種を受けたい人が多い反面、それをためらうのはどうやら誤情報というか、ソーシャルメディアによる情報や友人など自分の周りの人の影響もあるようです。
また、ワクチン接種をためらう人の中にはアメリカインディアンの人もいるらしく、以前政府が疫病予防と偽って、多くのインディアンの女性に不妊治療を施したこともあり、その悪夢を思い出せられる人もいるようです。それから、コロナ感染が多く発生した、食肉加工場で働く移民の多くは正確な情報が得られず、言葉(英語)の問題とともに、違法移民である身分を知られるので接種をためらっている人も多いとのこと。
折角ワクチンが開発され、効率よく分配されても、受ける側に協力体制がないと、政府の努力も水の泡です。でもこのコロナ感染でアメリカ社会が分断されていて、感染への態度も二分され、それに加え、少数派の原住民の政府への不信やら、移民の疫病以上に移民局を恐れる態度など、自分の住むこの社会はとても複雑です。
今回のコロナ禍で、今まで気づくことのなかったこの国の複雑な面を見せつけられた気がします。
とどけMahalo! アメリカ本土便り No.99
大井貞二(おおいさだじ)
1988年にハワイに移住。地元の私立校で日本語を教える。その後、ハワイ大学大学院を経て、ハワイパシフック大学(HPU)にて世界中からやってくる学生に日本語を教え、最近退職。現在アメリカ本土に居住。
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