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世界のマグロを追いかけて男の旅 こぼれ話

年始の魚

年始の魚

  アメリカでは混乱と混迷の1月を乗り越え、今月20日に新大統領の就任式も無事に終えました。就任式には顔を見せることもなく早々にホワイトハウスを去っていった前大統領ですが、オバールオフィス(大統領執務室)には新大統領宛に手紙を残しておかれたそうです。これもホワイトハウスの伝統らしいのですが、その内容についてはまだ公表はされていません。

 

 さて、皆さんにあっては新たな年を迎えても勢いの衰えないコロナ禍の日々の中で、対策をきちんとして頑張っておられることと思います。そして、この年末年始にはたくさんの魚を召し上がりましたか。

 日本人にとって、魚は神事や祭事の供え物としても欠かせない縁起物として昔から大切にされてきました。なかなか、東京豊洲市場での初競りの最高値のマグロを食べることができませんが、それぞれの食卓では、それぞれの土地柄の魚や、身近に手に入いる魚料理をご馳走になったことでしょう。

 昔は、今日のように物流サービスが行き届いていないことや、低温貯蔵庫もなかったので、海沿いから離れた土地や、また、漁が出来ない冬の間、大事な食料として魚は塩蔵され、塩鮭、塩ブリとして多くの家庭で食べられていました。私は、北海道の生まれでしたので、貴重な塩漬けの鮭を頬張っていました。塩辛い魚は長い厳しい冬の寒さを凌ぐために、また保存食としても重宝していたようです。

 東日本では鮭(サーモン)が、西日本では鰤(ブリ)が両横綱で、どの辺りで分かれるのかと言うと、長野県あたりが境界線のようでした。全国の土地柄もあって、鯛(タイ)、数の子、エビ、マグロ、イカなどが、江戸時代からめでたい祝の魚としても食べられていたようです。

 ハワイでは、近海で取れるマグロ類がありますので、豪華にマグロやカジキ類の刺し身とか、家庭独自レシピーでのポキで食卓を賑わしていたことでしょう。最近の日本のご家族は、近所の回転寿司へこぞって行かれてお腹いっぱいに寿司を堪能されたことでしょう。特に鮭は近年人気もあり安価ということもあって、回転寿司でもそうですが、一番消費量が増えているのです。

 実際の調査によると、現在日本人が普段食べる魚の消費第一位が鮭なのだそうです。もはや、鮭は「新巻鮭」として、お正月の特別な魚というわけではなく、最も身近な日々の魚となってしまいました。

 本来その土地々々には四季折々の海産物があって、旬を楽しみ郷土料理としても愉しまれていました。しかし、今日は養殖魚も出回り、流通、保管技術も格段に進歩して、手頃に生魚で手にすることが可能になりました。そして、料理方法もより画一的になり単純化されてきて、郷土の味、おふくろの味というものからも、遠ざかってきているのかもしれません。

STORY 162

永井 修二

北海道出身、在米38年 鮪関連水産会社34年勤続

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