美味しいマグロを求めて Part8
マグロの目利きには、かなり自信を持てるようになってきたでしょうか? 今回は、“冷凍マグロ”について、述べてみたいと思います。
お店でマグロのパックを手にとって見ると、「生食用」とラベルが貼られているし、マグロの赤色がとても冴えて見えます。さて、買い求めようとして手にとってよくよくラベルを見てみると、「解凍」という文字に気が付きます。ここで、「あれっ」と戸惑ってしまうことは読者の方にはいませんか?
いわば、この文字が書かれているマグロは、冷凍マグロということであり、解凍処理後にケースに並べているということになります。そこで、どうしても“生鮮”にこだわる人は、冷凍ということで、やめてしまう場合がありますね。確かに、お店の人が威勢よく「今朝、届いた鮮度抜群のマグロ!」とか、「昨日水揚げされたマグロが現地直送で届きました!」などの言葉で、鮮度の良さや生(なま)であることを一生懸命に力説している場に出会うことがあります。鮮度のいいマグロは、たしかに素晴らしく安心もできるでしょう。だからと言って、「冷凍マグロ」を侮ってはならないのです。
今では日本も、世界でもマグロの冷凍技術は飛躍的に進んでいて、“超低温冷凍”と言われる“凄腕”の冷凍方法を行っているのです。市場から遠く離れた太平洋や大西洋の漁場で漁をするマグロ漁船は、マグロを捕獲すると即殺、血抜きなどの処理後に船内の超低温凍結庫に入れ込みます。そこで、獲れてから数分のうちに瞬時に凍結させてしまいます。このときの温度はマイナス60℃以下で行います。マイナス60℃の超低温帯で、マグロのタンパク質の酵素分解や脂肪の酸化をほぼ止めることができ、微生物などの繁殖もストップさせ、新鮮な状態を保つことができるのです。
こうして、日本の港を出てから数カ月間の期間が経っていても、マグロは釣り上げた時の鮮度が維持されたままで日本の港に持って帰ることが出来ます。
マグロをはじめ赤身の魚類の鮮度保持はとても難しいのですが、超低温冷凍技術の躍進によって、世界の海から生鮮と変わりのないマグロが年間を通して食べられるようになりました。
もちろん、ハワイでも日本でも近海で漁れたマグロは、漁船が港に帰ってくると生鮮の状態で水揚げされ、市場へと流通さえます。こうしたマグロ船が帰港するまで、1〜2週間かかるというのも普通です。そうなれば、マグロは既に2週間経ったものもあれば、時にはそれ以上の場合もあります。そうしたマグロは、かなり酸化も進んでしまい変色も始まっていたりします。
“解凍”という文字が、マグロのパックに書いてあるからと言って、マグロの良し悪しを判断することはできないということですね。