日本製ビールの新販売価格が気になる!
世界では“日本製のビールはなかなか美味しい”との、評判を得ている。しかし、関係機関の統計によると、去年の売上高は必ずしもそのことを反映していないようである。発表によると、2019年の日本国内の販売実績は、市場全体では前年比約1%程度減となっている。しかも15年連続の減少状態が続いたことで、歴史的記録となった。
この様な状況に直面した国内の大手四社のビール会社は、今年の10月に行われる酒税改正でビールにかかる税金が下がることを機に起死回生を目指し、消費拡大に向けた新戦略の秘策を練り始め、今春に新販売戦略の全力展開に賭けることとなった。
実は、日本のビール系飲料(ビール、第三のビール、発泡酒などを含む)の、各社の去年の国内販売実績は、キリンビールが1億3550万ケースで0.3%増、サントリービールが6365万ケースで1.0%増の二社のみがプラスであり、アサヒビールは1億4196万ケースで3.5%減、サッポロビールは4347万ケースで2.6%減となっている。ビール販売の減少状態の主な原因は、消費者の好みが多様化してきたためであると専門家は分析している。
日本のビール系の三種類にかかる酒税は各々が異なっており、近年のビール系飲料全体の販売減が続くような状況下では、酒税改正の結果を見通し、一番安く有利な酒税の種目を選び、その種目に重点を移し、そこに全面的な販売促進をかけるしかないと言うのである。
将来的に酒税の一本化の第一段階として、ビール1缶(350ml)当たりの税金が現在の77円から70円に下がるのに対し、第三のビール(発泡酒)は28円から37.8円に上がることになる。そうなればビールの販売に主力を注がれてくことが予想される。
例えば、アサヒは、酒税がこの様に改正されれば、ビールの販売は追い風になるとみて、主力のビールに注力し、若い女性だけで「スーパードライ」を楽しむ広告を頻繁に流し、若年層の取り込みに重点を置くと言うのである。また、サントリーは主力の「ザ・プレミアム・モルツ」を刷新すると発表している。
一方のキリンは、酒税改正後も第三のビールは割安感があると考え、売り上げが大幅に伸びている「本麒麟」の味を更に改良し、それに同社の主力ビールである「一番搾り」と共に、国内外で、これら二種類のビールの販売促進をする予定であると言う。売上高減少が一番大きいサッポロビールが、どのような新改善策を練っているかは、未発表のようであり、大きな期待がもたれている。
日本製各種ビール系の販売価格がどのように変わるかは、10月の酒税改正の正式発表まで待たねばならないのが実情である。日本でのビールの愛飲者は、ご贔屓のビールの価格がどのように変化するかを気にして、待ち遠しい日々を送っているに違いない。
常夏のハワイにも、日本製ビールの愛飲者が大勢いると聞く。中には、今から愛飲銘柄の価格の行方に気を揉んでおられる方もいるのではないだろうか?
今どき ニッポン・ウォッチング Vol.177
早氏 芳琴