こんな時こそ、よかった探し
世界中が新型コロナウィルスのことで、大変なことになっています。不安がいっぱいで、いったいどうなってしまうのだろうと出口もなくて、やっぱりとても苦しい時期ですね。
これまでも、苦しいなあと思うことはいろいろありました。そんなときに、そのおかげでと何かいいことはないだろうかと考えるのがくせになりました。たとえば、新型コロナウィルスのおかげでいいことはないだろうかと探すのです。探してみたら、新型コロナウィルスのおかげで、うれしいこともいっぱいありました。
外に出られない方も多いでしょうということで、「映画を無料配信します」と、素敵な映画を無料で配信してくださる方がおられて、それが観れたり、家でゆったりとしていたら、同じような理由で、家から無料でコンサートをしますとお知らせがあって、ピアノと素敵な歌を聴けたりして、優しさに涙がこぼれます。
自分のことばかり考えないで、誰かのために、もし自分ができることがあったらしたいなあという方の優しさがあふれてきて、胸がいっぱいになるのです。
新型コロナウィルスのおかげで、これまでは、自由にハワイやニューヨークやパリやロンドンにで自由に出かようと思ったら出かけられたのに、今はできず、自由にでかけられることの嬉しさを噛み締められたり、みんなで助け合えるということも味わうことができています。
それから、私は久しぶりに本をいっぱい読んでいます。今読んでいるのは、6冊の分厚い本からなっているファンタジー。とても壮大なお話。この本は、もうずいぶん前にお友達にいただきました。遠いところに住んでいるお友達が病気になられて、お見舞いにもいけないままでいますが、本を読みながら、お友達のことも噛みしめるように思い出すことができました。
それから、日本ではそのときに急激に患者さんの数が増えた北海道の大好きなお友達の声が急に聞きたくなって電話もできたよ。大好きな大好きなお友達の元気な声が聞けたから、すごくうれしくなりました。
こんなふうにうれしいことを探しているのは、のんきなことかもしれません。経済も大変だし、学校もお休みで、大変な思いをされている方も多いですものね、でも、私はやっぱりよかったなあ、嬉しいなあと思うよかった探しをしたいです。そんなことをゆっくりと考えられたのもコロナウィルスの病気のおかげかもしれません。どんなときも楽しんで入られたら嬉しいなあと思います。
それでもやっぱり思います。どうかみなさん、お元気でいてくださいね。大好きな誰かがお元気でとお祈りして、そして、このエッセイを読んでくださるみなさんのことも、心からお元気でとお祈りして、今日もよかったことを探しながら元気でいようと思います。
山元 加津子
1957年石川県金沢市生まれ 富山大学理学部を卒業後、特別支援学校の教員と、作家活動をしてきたが、2014年に教員をやめ、2012年に立ち上げた障がいを持つ方もそうでないかたもみんなで幸せになろうと「白雪姫プロジェクト」を立ち上げ、その中で意識障害の方の回復の方法と意思伝達の方法などを伝えている。