公立学校再開に向けての ハワイ州教育局の取り組み
2020-2021年の教育プログラムが発表され、、8月4日から新学期が再開される予定であったハワイの公立学校。しかし、生徒受け入れに対し準備が整っていないことなどを理由に新学期の開始日を8月17日に延期とすることとしたが、さらに8月7日午後、ハワイ教育局はオアフ島での新型コロナウイルス感染の陽性者増加に伴う新たな保護措置と制限に合わせ、すべてのオアフ島の公立学校の学校再開計画を変更することを発表した。それによると、各校によって異なるフェーズを用意するが、例えば筆者の子どもたちが通うウィンドワード地区のある小学校では、3段階のフェーズに分けるとしている。 具体的には以下の通り。
第一段階
対面トレーニング
(8月17日〜20日)
先生と子どもたちの対面トレーニング(8月 17〜20日)を行う期間。学校がはじまる8月17日からの最初の週に、各学校が決定したスケジュールに沿って、生徒はキャンパスに戻る。新型コロナウイルスに対する基本的な考え方、安全性や取り組みなど、この期間では教師からこれからの学校の進め方についての説明を受け、さらに、今後行われる自宅でのオンライン学習/ディスタンス・ラーニング(遠隔学習)に対するトレーニングを受ける。その際、各家庭での状況を確認し、パソコンなどのデバイスの有無やWi-Fi環境などについての相談を受け付け、今後の学習方法を計画することになる。これまで教育省は、ハワイの全家庭の保護者に向けてアンケートを行い、安全性、不安、ディスタンスラーニングなど、学校再開に向けての各個人の考え方などを聞いてきた。これによって、新学期のプログラムの骨子を作成した。今後、主となるディスタンス・ラーニングに対し、教育省ではすでに、1万2,000台のパソコンをすでに準備し生徒に貸し出しを行った。さらに現在も1万台、追加オーダーしている。
第二段階
Ready to Learn、通信教育
(8月24日~9月11日)
次の4週間は、生徒は学校へは行かず、自宅でのディスタンス・ラーニング(遠隔学習)を行うとしている。教師や学校スタッフは、準備されたカリキュラムに沿って、継続的な遠隔学習指導を行う予定だ。Wi-Fi環境をもたない生徒のためには、学校内で監督付きの対面学習ラボが利用できるよう準備している。
これに伴いハワイ州教育省(HIDOE)は、各家庭からHIDOEのネットワーク接続の際に問題が発生した場合に、電話やチャットによるサポートを提供する「’Ohana Help Desk」を立ち上げた。このヘルプデスクでは、接続関連の問題(ネットワークやWi-Fi接続など)、アクセスやセキュリティの問題、デバイスのサポート(デバイス、アプリケーション、ソフトウェアのアップデートなど)、一般的なITサポートなどを電話やチャットによりを受けることができる。 子どもたちの学習に関するパソコンやインターネットについての技術サポートをご希望の方は、HIDOE ‘Ohanaヘルプデスクまで。
第三段階
ブレンデッド・ラーニングへの移行
(9月14日)
教育省は、今後の新型コロナウイルスの感染拡大の状況について引き続き注視。現時点では9月14日から、学生が教室に戻り、実際に授業を受ける対面式と、自宅でのディスタンス・ラーニングを混ぜた、ブレンデット・ラーニングが実行に移せるかについて、州知事室およびハワイ州保健省と協力して検討するとしている。ブレンデッド・ラーニングは、1クラスを頭文字で2つに分け、対面式に参加するグループと、遠隔学習するグループとし、教室内に集まる人数を制限し、ソーシャルディスタンシングを守る狙いがある。方針が変更となる場合は、随時、教育省から発表されることになる。
保護者の間ではこれらの方針を聞き、新学期をすべてディスタンス・ラーニングとする考えにした家庭、まずは様子を見て、それから方針を決める家庭、とくに気にしていない家庭などさまざま。再開目前になっての方針転換により、かなり活発な意見交換や、相談が交わされている。小学生をもつある保護者は「前例がないだけに、明確な方針が決められない。まずは様子を見たいと思う」と語った。さて、2020年-21年の学校教育はどうなるのだろうか。
(取材・文 鶴丸貴敏)
(日刊サン 2020.8.14)