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ちょっと役立つ 日本の新製品

驚異の抗菌素材で快適に

驚異の抗菌素材で快適に

 今回のコロナ騒ぎでフェイスマスクや手洗いや消毒剤などの需要が大きく増大しました。同時に、「抗菌・除菌」作用がある数々の素材が注目され、従来品よりも比較にならないほど、高品質の「衛生や医療用品」が生まれてきています。そのひとつが村田製作所と帝人が共同で開発した「PIECLEX(ピエクレックス)」という「抗菌作用を持つ繊維」です。

 動きや力が加わることで電気エネルギーを生み出す圧電繊維なのですが、原料がポリ乳酸という植物由来のデンプンです。スポーツウエアなど、人の動きによって繊維が伸び縮みすると、ポリ乳酸の圧電特性により繊維の内部に電圧が発生し、それにより繊維内に電場(電子が飛び交う小さな空間)ができ、これが細菌を失活させるという仕組みです。発生電圧は数ボルト程度ですが、繊維内部という局所で働くため、細菌を失活させるには十分なのだそうです。よく似たものに静電気がありますが、人では3000ボルト位で、チクっとします。

 従来の抗菌繊維は、繊維に無機・有機の抗菌材を繊維内部に浸み込ませたり、表面加工を施して、抗菌機能を実現してきました。その為、洗濯などによって徐々に性能が低下しますが、ピエクレックスは繊維そのものが抗菌作用を持つので、添加物となる抗菌剤が不要であり、抗菌力も半永久的に維持できると言われています。

 ピエクレックスの特徴は、発生した電気の力で抗菌すること、金属や有機剤を使用しないこと、表面加工などの「後での追加加工」ではないので繊維が存在する間は抗菌作用が持続すること、もともと繊維なので非常に多くの繊維製品に応用でき、しかも最適化設計ができること、などです。主な用途として、人の動きによる伸縮が大きい靴下やシューズ、コンプレッションウエア、肌着などのアパレル向け、紙おむつやマスクなどの衛生材向けを想定しているそうです。

 このピエクレックスは植物のデンプンから取り出した「ポリ乳酸」ですので、生分解されて環境を汚染したり破壊することが一切ありません。また、植物は大気中の二酸化炭素を吸収してデンプンを合成している為、地球温暖化を防ぐカーボン・ニュートラルな素材だと言えます。一般的な細菌への効果は検証されていますが、新型コロナウイルスに対して抗菌作用がどの程度効果があるかは今、実験中だそうです。

図表:ピエクレックスプロジェクトのウエブサイトより

No.268

となりのおじさん

在米35年。生活に密着した科学技術の最新応用に興味を持つ。コラムへのコメントは、 [email protected]まで

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