イマナス亭オーナー 福田桂二さん
「お電話ありがとうございます！ イマナス亭です。あ、●●さん、毎度ありがとうございます！」。常連からの電話が今日も鳴る。このお電話はばらちらしと太巻きのオーダーだ。
ハワイ大学マノア校の近く、ユニバーシティにある創業22年の老舗、寿司居酒屋イマナス亭。在住日本人や観光で訪れる日本からの方はもちろん、ハワイローカルにも長年に渡り愛される人気和食だ。ハワイで唯一、アメリカの評価サイト『タイムアウト』でランクインし、和食部門で全米5位に輝いたこともあるこの人気店を、昨年11月に前オーナーから引継いだのが福田桂二さんだ。日本やフィリピンでケータリングビジネスを広く展開してきた福田さんが、さぁ、これから！ というタイミングでこのコロナ禍に直面してしまった。
セントラルパシフィックバンクの プロモーションには ほんとうに助けられました
「いまだから言えますが、どうなるのかな、と不安でした。でも、テイクアウトのみでお店を開けると、ワイキキから距離があるのに、わざわざご注文をくださる方がほんとうにたくさんいらっしゃいました。うれしかったですね。ウニはないの？ アジはどう？ 寿司ネタについてのお電話が本当に多い。通常時から衛生面でお持ち帰りをお断りしていたネタなどを除き、かなり多くのメニューは現在もご提供しています。もちろん人気のお鍋もご用意していますよ。ご家庭でイマナス亭のちゃんこ鍋がお楽しみいただけますのでぜひ、お試しくださいね。
3月末に、セントラルパシフィックバンク（CPB）さんのプロモーションがありましたよね。銀行が、注文金額の半額をお客様へキャッシュバックしてくれるというあれです。あのときにはほんとうに助けられました。店の電話は鳴りやまず、上限の$100ギリギリまでオーダーされる方も多く、たくさんのご注文をいただきました。ただし、それが終わるとやはり注文が落ち着いてしまったんです。
新たなトライは デリバリーサービスとの提携 そしてケータリングへ
そこで新たにはじめたのがuber eatsやDOORDUSHといったデリバリーサービスとの提携です。もともと『$100以上のご注文であればホノルル内は無料でデリバリー』をスタートしていました。けれど、彼らのウェブサイト経由の注文が加わることで、常連さんとは違う、まったく新しいお客様にも楽しんでいただけるようになりました。
そこで学んだことは写真の良しあしですね。ウェブサイトに掲載するために料理の写真を撮ります。一度プロの方に来ていただいて撮影法を見せてもらいました。ライティング（照明の当て方）などを見て、すこしずつ勝手がわかってきました。照明機材も購入し、ぼくら素人が携帯で撮影してもおいしく見える工夫もはじめました。すると注文の入り方も変わり、効果が見えてきました。文字だけよりは写真があるほうがいいし、ただの写真よりは美味しく見える写真のほうが、よりイメージがわきますからね。
先日の母の日は、通常メニューに加えてお寿司、刺身、揚げ物などがセットになった2～3人前$90、５～６人前の$265（$30以上お得な内容）の２つのパーティプレートを用意しましたが、CPBのときを上回るご注文をいただきました。お寿司、ちゃんこ鍋以外にも揚げ出し豆腐やダイナマイト、お酒のおつまみも人気です。また、日本酒など、お酒もテイクアウトが可能です。まずは『あれテイクアウトできますか？』と電話で聞いてみてください。できるだけお応えしたいと考えています。
アフターコロナについては、まだ先が読めないのでわかりませんが、店内の食事が再開されたとしても、もとの半分ぐらいの人数しか入れられなくなるでしょう。これからはケータリングに力を入れたいと思っています。我々がお客様のご指定の場所に出向き、そこで調理をする。法律の規制次第ではありますが5人10人、それ以上のご注文にも対応できるよう、お寿司や鍋など、ご希望のものをセットする予定です。
5月25日（月）のメモリアルデーも休まず営業しますし、毎日数量限定の特別メニューもご用意しています。早くハワイの社会全体が再開できるようになり、皆さまとお店で会える日を楽しみにしております」
テイクアウトのお客さんがいう。「いつ開くの？ オープンしたらいちばん先に来るから教えてね！」。福田さんはこれからも気取らず、変わらず。創業以来のイマナス亭の味や雰囲気を守り続けていくという。
（取材・文 鶴丸貴敏）
