オアフ島のワイアナエ地区に46.7メガワットの風力発電の建設を計画していたユーラス・エナジー・アメリカはプロジェクトのウェブサイトの中で入札からの撤退を表明した。
声明の中で、「ユーラスは西オアフのパレフア風力プロジェクトに4年を費やしたが、ハワイでの風力プロジェクトの開発にはリスク要因が大きすぎると判断した結果、入札を撤回する決定をした。我々は引き続きユーラス・ワイアナエ太陽発電の運転を継続し、ハワイ州が2045年までに再生可能エネルギーを100%にするという再生可能ポートフォリオ基準を達成できるように方法を模索していく」と述べた。
このプロジェクトはカヘ発電所の斜面の上に13機の風力タービンを設置して、2万5千世帯に電力を供給するもので、全ての契約、認可がうまくいけば2022年末までに稼働を開始できる予定だった。
ハワイアン・エレクトリック(HECO)の報道官であるピーター・ロセッグ氏は「2045年までに再生可能エネルギーで電力需要を100%賄うというハワイ州の法律で決めた基準を達成するためには、風力や太陽光発電など規模の大小を含め全ての実行可能な再生可能資源が必要であり、その実現に向けハワイの住民全員が協力しなければならない」と述べたが、西オアフ地区のリーダーたちはこのプロジェクトに反対しており、その土地はハワイ先住民族にとって神聖な土地であり、地区の動物の生息や文化地区としての影響が大きいと懸念を表明していた。
ハワイ上院議員のグレン・ワカイ氏は、この撤退をハワイにとって大きな後退と表明し、「100%の再生可能エネルギーを達成しようとしている私たちにとって、大きな打撃となる」と述べた。
また、ブループラネット財団のヘンク・ロジャース氏によると「多くの企業が再生可能資源プロジェクトから撤退すれば、ハワイにとって大きな汚名となり、100%の再生資源による電力供給という目標達成が困難となる。太陽光だけに依存することはできず、風力は間違いなく大きな一翼を担う」
(日刊サン 2020. 4.4)