日本でも魚の資源枯渇問題が騒がれて久しいですが、天然魚にも劣らないさまざまな養殖魚が一般市場に浸透するようにもなりました。そして、もう一つサスティナブルな利用につながるとして市場に大きく進出してきているのが“代替魚”があります。
“代替魚”は、見た目だけでなく、風味や食感まで本物に近いと言われるほど近年向上してきて、今多くの消費者の注目を集めています。特に世界的にSDGs(持続可能な開発目標)への関心が高まる中いろいろな商品が紹介されています。
ところで、“代替魚”や“代替食品”とは、そもそもなんでしょうか?
それらは、見た目、風味、食感などを本物によく似せてあり、他の原材料などを使って作った加工食品のことを言っています。魚や肉などの動物性食品を、大豆などの植物性の材料に置き換え、より魚や肉に近づけるようにした商品になっています。
例えば、アメリカでもすっかり定着しているカルフォニアロールに使われるカニカマも代替食品の一つと言えるでしょう。カニカマはカニの身に似せたかまぼこ食品になりますが、実際のカニの身は高価なので、安価なすり身を材料として本物に近いものにしています。何よりも安価であり、さらに価格も安定していることが魅力でしょう。
代表的な“代替食品”には、培養肉や大豆を原料とした大豆ミートがあり、バーガー、焼き肉、チキンナゲットなど幅広く使用されてきています。そして、代替卵、代替ミルクやチーズなどの乳製品もあり、卵アレルギー、牛乳アレルギー、乳製品を苦手としている人に受け入れられ、豆腐ミルク、アーモンドミルク、オーツミルクなどの植物性飲料の商品も流通しています。小麦や小麦製品は、小麦アレルギー、グルテン過敏症などに悩む人には、米粉や大豆粉が主に利用されている“代替食品”が注目されています。
そして、細胞培養肉の開発商業化を急ぐ理由には、将来的に世界のタンパク質不足が懸念されていることがあります。2058年には世界の人口が100億人にもなるだろう予測され、加速する世界人口増加事情が直面し牧畜産業だけではタンパク質の供給が間に合わないと言われています。
水産物の代替食品となると、魚のすり身を使ったカニカマやウナギかば焼き、植物油などを使ったイクラなどはすでに市場に紹介されてきましたが、今、生食できる刺し身までもが、ついに代替食品として市場に現れました。魚の中でも最も人気のあるマグロやサーモンですが、刺し身用サクの販売が開始されています。食肉加工の日本大手の日本ハム社は、マグロの刺し身の代替魚肉をコンニャク粉や食物繊維などを原料に研究開発を進め、欧米市場でお馴染みの“あずまフード”も、ベジタリアンやビーガン(完全菜食主義者)市場を狙ったマグロなどの代替食品を展開しはじめています。日本では、ベジタリアン料理の専門店や精進料理を出すお寺などに浸透してきていると言います。
こうして、“代替食品”の研究開発は世界の食品メーカー各社で進められていて、その世界市場でさらに拡大し2030年には今から4倍の6兆5千億円市場になると予測されています。