【世界のこぼれ話】ホテルに5年間無料滞在、ビルの所有権を主張 ニューヨーク
ニューヨーク市のある男性が、5年間にわたり、マンハッタンのランドマークとなっているホテルに家賃なしで住み続け、さらにホテルの建物全体の所有権を主張する書類を提出し、別のテナントに家賃を請求しようとしたとAP通信が伝えている。
舞台となったのは、マディソン・スクエア・ガーデンから1ブロックに位置する「ニューヨーカー・ホテル」で、1930年に建てられたアール・デコ調の建物に1000室以上の客室を持つ。ミッキー・バレトは、数年前にロサンゼルスからニューヨークに引っ越してきたばかりの頃、ボーイフレンドから、1969年以前に建てられた建物のシングルルームの居住者が6カ月のリースを要求できるという抜け穴について聞いたという。バレトは、ホテルでの1泊分の料金を支払っているのだから、借主としてカウントされると主張した。しかし、ホテルはすぐに彼を追い出した。
翌日、バレトは裁判所に行ったが、裁判官は却下。しかし彼は州の最高裁判所に上告し勝訴した。裁判の重要な局面で、ビルの所有者側の弁護士が現れなかったため、不履行により勝訴することができたという。
判事はホテルに対し、バレトに鍵を渡すよう命じた。ビルの所有者が彼と賃貸交渉をしたがらなかったため、家賃を支払わずに2023年7月までそこに住んでいたが、彼を追い出すことはできなかったと語った。
マンハッタン検察は、住宅裁判所がバレトに部屋の「所有権」を与えたことを認めている。しかし、彼はそれだけで終わらず、2019年に市のウェブサイトに偽の証書をアップロードし、1976年にこの物件を購入した「世界基督教統一神霊協会(旧統一教会)」から、建物全体の所有権を自分自身に譲渡したと称した。その後、ホテルのテナントのひとつに家賃を要求し、上下水道の支払いのためにニューヨーク市環境保護局に自分の名前でホテルを登録し、ホテルの銀行から自分への口座振替を要求するなど、さまざまな団体を建物の所有者として告発しようとした。
しかし14日(水)、バレトは逮捕され、虚偽の不動産記録を提出した罪で起訴された。彼は、警察が銃と防弾盾を持ってボーイフレンドのアパートに現れたので驚いたと言い、「女性警官を見るまでは、バレンタインデーのために何かしているのかと思っていたよ」とボーイフレンドに語ったという。
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