メキシコ国立自治大学の生態学者たちは、24日(金)、絶滅の危機に瀕しているメキシコサンショウウオ、通称ウーパールーパーの保護活動を強化するための募金キャンペーンを再開したとAP通信が伝えている。
「アダプトアホロートル(Adoptaxolotl)」と呼ばれるこのキャンペーンでは、600ペソ(約5100円:8.6円/メキシコペソ)から、この小さな「水の怪物」の一匹をバーチャルで飼うことができる。バーチャル里親キャンペーンでは、ウーパールーパーの健康状態が即時アップデートされる。また、安い金額でバーチャルディナーを与えることもできる。
このキャンペーンに協力している科学者によると、メキシコサンショウウオの主な生息地では、その生息密度は20年未満で99.5%も激減しているという。
このキャンペーンは昨年も開催されており、45万ペソ(約387万円)を超える寄付金が集まった。これらの資金は、実験的な飼育下繁殖プログラムとメキシコシティ南部にあるソチミルコの古代アステカ運河の生息地を復元する取り組みに充てられた。
それでもなお、徹底的な調査を行うには資金不足だという。9人の研究者からなるチームを率いる生態学者のアレハンドロ・カルサダ氏は、「メキシコシティはもとより、メキシコ全土の河川の大規模なモニタリングが不足している。この広い範囲では資金は十分ではない」と語っている。
ウーパールーパーは、最近人気を集めているにもかかわらず、メキシコに生息する18種のほとんどすべてが、水質汚染や両生類に対する致命的な菌類、外来種のニジマスなどの侵入によって絶滅の危機に瀕している。
かつてメキシコでは、1平方キロメートルあたり平均6000匹のウーパールーパーが生息していたが、国立自治大学の最新調査によると、現在は36匹しかいない。さらに最近の国際的な調査では、メキシコに生息するウーパールーパーは1000匹以下であることが判明している。
ウーパールーパーは、その独特のぬるぬるした外見と、手足を再生させる不思議な能力から、メキシコでは文化的なアイコンに成長した。世界中の研究室では、科学者たちがこの治癒力に組織修復や癌の回復の秘密があるのではないかと考えている。
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