【世界のこぼれ話】イルカの母親もベビートークを使うことが判明 ワシントン州
人間の大人が赤ちゃんや小さな子どもに話しかけるときに口調が変わるように、イルカの母親もまた、甲高いベビートークのようなものを使っていることがわかったとAP通信が伝えている。
26日(月)に発表された研究によると、バンドウイルカのメスは子イルカに話しかけるとき、声のトーンを変えるのだという。研究者たちは、フロリダで19頭の母親イルカの特徴的な鳴き声を録音した。
イルカの鳴き声は、ユニークで重要なシグナルであり、自分自身の名前を知らしめるような役割があり、それによってお互いを把握していると言われている。
米国科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of Sciences)に掲載された研究によると、子クジラ/イルカに信号を送るとき、母親の鳴き声のピッチは通常より高く、ピッチの幅も広くなるという。
研究者たちは30年以上にわたって、フロリダのサラソタ湾で同じ野生のイルカの母親に特殊なマイクを何度も装着し、その特徴的な鳴き声を録音した。子イルカはサラソタでは平均3年間、時にはそれ以上母親と一緒にいるが、母イルカの子育て期とそうでない時期の両方で録音を行っている。なお、イルカの父親は長期にわたる子育ては行わない。
人間やイルカ、あるいは他の生物がなぜベビートークを使うのかは定かではないが、子どもたちが目新しい音の発音を学ぶのに役立つのではないかと考えられている。
1980年代にさかのぼる研究によれば、人間の幼児は、音域の広い音声に対し、より注意を払う傾向がある。アカゲザルのメスは、子どもの注意を引きつけるために鳴き声を変えることがある。また、シマフクロウは雛に話しかけるために音程を高くしたり、鳴き声を遅くしたりするという。
今回の研究では、母イルカがベビートークを使うことで子イルカに「話す」ことを学ばせているかどうかは判明していない。デンマークのオーフス大学の行動生態学者で、研究の共著者であるフランツ・ジェンセン氏は、「もしバンドウイルカに似たような適応があるとすれば、それは理にかなっている。バンドウイルカは長生きで、非常に音響的な種であり、子イルカはコミュニケーションをとるために多くの音を発声することを学ばなければならない」と語っている。
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写真:Shutterstock.com
(日刊サン 2023.6.27)