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【今どき ニッポン・ウォッチング】日本でも保釈時にGPS制度新設 5年以内に施行へ
我が国にも幾つかの先進諸国が実施している保釈中の被告に対し、全地球測位システム(GPS)の端末を装着させる制度の導入などを盛り込んだ改正刑事訴訟法が、5月10日、参議院本会議で可決成立した。
これは2018年暮れに起きた日産自動車元会長カルロス・ゴーン被告の海外逃亡事件再発防止が、主なきっかけであるともいわれている。この改正刑事訴訟法などは、公布から5年以内に施行されるという。
少子高齢化が急速に進む我が国では、これから必ずや多くの優れた人材が、我が国で希望に満ちた共同生活を営むことになるのは、必然であると筆者は思う。そのため、これからの「新移住者」を迎えるにあたって、より良い生活環境や社会秩序の構築を目指す必要があろう。これこそが、新らたな新生活共同体が、より一層の飛躍を達成できる力となるからである。新たな新法の設立も当然この範疇に含まれると思われる。
ここでいう新法の設立とは、保釈中の被告の逃亡を防ぐため、全地球測位システム(GPS)の端末を被告に装着できるようにする制度の新設である。
裁判所が被告の保釈を決める際、海外逃亡のおそれがあると判断すれば、GPSの装着を命じることができるようになる。空港などを「所在禁止区域」に指定し、被告を検知すると、直ちに裁判所に通知する。違反者は1年以下の拘禁となるのである。
だが、近年裁判所が被告の保釈を認める割合が高まる一方で、保釈中に逃亡したり裁判所に出頭しなかったりして保釈が取り消されるケースが問題になってきている。
統計によると、一審が終わるまでに保釈が取り消されたのは、2016年に75人だったのが、2019年には219人と大幅に増えてしまった。保釈中の被告本人が裁判期日に来なかった場合の「不出頭罪」や、保釈の際に定められた住居から離れる「制限住居離脱罪」も設けた。
また、今回成立した関連法には、性犯罪被害者の特定につながる個人情報を保護する制度の新設も盛りこまれていた。これは公布後、9か月以内に施行される。
被害者らの情報をめぐっては、これまでも法廷で指名を伏せることができる制度があった。今回の改正で被告が反論する防御権が損なわれる恐れがある場合には、被告や弁護人が裁判所に情報の通知を請求できる仕組みも規定した。
今回の新法設立は、日本に特権者はなく、「法」の前ではすべての人々は皆平等であるという姿勢を強化したものととらえる。例外なく法の下の平等あってこそ、一流の国家として賞賛されるに値するであろう。
今どき ニッポン・ウォッチング Vol.263
早氏 芳琴