ハワイ州観光局(Hawaii Tourism Authority:HTA)の廃止を求める2つの法案が議会で俎上に上がっており、同局にとって1998年の設立以来の大きな争点になっているとホノルル・スター・アドバタイザーが報じている。
下院法案(HB)1375と上院法案(SB)1522の修正版は、11日(火)にそれぞれの議会で投票が行われる予定だ。先週、クロスオーバー後に最終委員会を通過した両法案は、HTAの法定任務を、長年HTAの主な任務であった観光促進から、ハワイの維持管理へと移行させる内容となっている。
なお、どちらの法案も承認されず、州予算がHTAの資金源となる場合でも、現在の予算は3500万ドルで、今議会で要求した7500万ドルから50%以上削減されるため、HTAはまた大きなハードルに直面することとなる。この要求には、2022年にデービッド・イゲ前州知事が受け取った3500万ドルを補うための1500万ドルが含まれていた。イゲ氏は、同局の唯一の立法予算であるいわゆる「ガット・アンド・リプレイス」資本整備法案に拒否権を発動し、連邦政府の資金援助を確保した。
ハワイ大学公共政策センターのコリン・ムーア所長は、「立法府における改革への要求が圧倒的であることは明らかだ。何があろうと、会期末には、HTAはまったく違う、あるいははるかに弱い機関になるだろう」と述べた。
ショーン・クインラン議員(ワイアルア、カフク、ワイアホレ地区)ら下院議員が提出した現行のHB1375は、ハワイ州ビジネス経済開発及び観光局(DBEDT)内に観光業の改新と最善の観光地管理を包括する観光目的地管理局を設置するため、6000万ドルを計上。また、ハワイ・コンベンション・センターの屋上からの雨漏りの修理費用として6400万ドルを計上している。
この法案は承認された時点で有効となり、HTAとその理事会は解散となる。9人からなる理事会を新設し、同機関の機能、任務、予算、役職を観光・デスティネーション・マネジメント局に移管する。事務局長の給与はDBEDTの局長給与と同レベル、事務局長補佐の給与はDBEDTのトップ職の90%を上限とし、民間企業の高額な役員給与を基準としてきたHTAの現在の給与水準に影響を与える可能性がある。
例えば、9月15日に終了するHTA代表兼CEOのジョン・デ・フリース氏の3年契約の条件によると、基本給は27万ドルで、契約期間中は通年で5%の自動昇給がある。一方、DBEDTディレクターのマイク・マッカートニー氏は、2022年に約15万5000ドルを得ていた。
HTAの最高管理責任者であるダニエル・ナホオピイ氏は、今回の法案は、数年にわたる官民の努力の末に議会で成立したHTAの起源とはかけ離れていると述べた。HTA設立当時、ハワイ・ビジターズ・ビューロに勤務していたナホオピイ氏は、政治に左右されない専用の資金で観光をサポートすることが目的だったと語る。当時、HTAはマーケティングを中心とした新たな資金基盤を与えられ、新たに創設された宿泊税から年間6000万ドル近い資金が投入される見込みだった。
デ・フリース氏は、ハワイ州改正法の201B-3章でHTAを誕生させたと議員に語り、新たに提案された組織は「角を矯めて牛を殺すようなものだ」と述べた。
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写真:Bill Perry / Shutterstock.com
(日刊サン 2023.4.10)