アメリカの年金、いわゆる「ソーシャル・セキュリティ」と呼ばれている社会保障支給額が、2023年に8.7%増額されるとハワイ・ニュース・ナウが伝えている。
これは稀に見る規模の増額だが、昨今の物価高騰により、増額分のほとんどは日々の生活費の補填となるのではないかと言われている。
この増額は「生活費調整(COLA : Cost of Living Adjustment)」と呼ばれるもので、過去40年間で最も大きな増額幅となる。
社会保障局(Social Security Administration)の13日の発表によると、退職した平均的な年金受給者は、来年1月から平均で140ドルを追加で受け取ることになり、年金額は1カ月あたり1,827ドルになるという。
年金生活者にとっては喜ばしいことではあるが、多くの人はインフレで値上がりした分をカバーするには十分ではないと考えている。
家の維持費や食料品の値上がりで、年金生活者の暮らしは非常に苦しくなっている。
85歳のシャーリー・パーカーさんは、「この増額ではあまり助けにならない。食料品の値上がりは信じられないほどで、ほんの少しでも50ドルかかる」と話した。
ソーシャル・セキュリティの生活費調整は、食品や燃料など生活必需品が値上がりした場合に、高齢者とその他の受給者を支援するために設定されている。
政府機関の報告によると、消費指数は8月に0.1%、9月には0.4%、過去12カ月で8.2%上がっている。
しかし、日本の国民健康保険にあたるメディケアのBプラン(外来医療)の保険料が、来年から3%下がることが今月すでに発表されている。
11月の中間選挙を前に連邦議会では、民主党と共和党が、物価高騰の対応策と財政立て直しについて議論を戦わせている最中だ。
バイデン大統領は、ソーシャル・セキュリティとメディケアの強化を訴えており、それを実行した形になっているものの、インフレ率に追いつかない対策だとの批判もある。
アメリカ国内でソーシャル・セキュリティを受給しているのは、退職した高齢者、障害者、遺族となった子供たちで、およそ7,000万人になる。
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写真:Shutterstock.com
(日刊サン 2022.10.13)